店イチオシの「ホソ」は2種のタレで

ホソを焼くと、炎が上がる

さあ食うぞ。

「アジェ」の魅力は、豊富なホルモンの種類だ。「白身」と称した部位が15種。精肉も含んだ「赤身」が17種ある。牛ホルモンとしてはオールスターズといったところ。それとは別に、日替わりのオススメもある。

まずは、イチオシの「ホソ」をいく。メニューブックの冒頭に記載されており、店のスタッフからもオススメされる。味付けは、塩とタレがあるのだが、特に注文しなければ、塩が出てくる。

卓にサーブされたそれは、なんと言っても白さがまぶしい。ツヤツヤしている。早速、網で焼く。「アジェ」の場合、炭焼きではなく、普通の網焼き、熱源はガスだ。七輪を使う店も多いだろうが、正直、七輪の炭焼きだからおいしくなるかというと、それを実感したことはない。

懇切丁寧に焼き方を教えてくれるパンフレット

どちらかというとパフォーマンスの要素が多いのではないか。管理にも手間がかかる。「ホルモン千葉」もそうだったが、そんなところに手間とコストをかけるより、うまい肉とホルモンを仕入れたほうが客のためと考えているような気概を感じる。

ホソは、おそらく小腸の一部なのだろう。焼いていると脂が落ちて、火が上がる。面白いのは、肉の焼き方を指南するパンフレットが用意されていること。まずは、皮側を焼き、ピンク色をなくしてから、脂肪が豊富な白い方を焼き、やはりピンク色がなくなったら、焼き上がりということだそうだ。

もう一つ、「へえ~」と思ったのが、タレだ。

2種類提供されるタレ。和風であるのが面白い

最初に注文すると、「ホソ用」と「タレ用」と2つの調味料が提供される。このタレ、いわゆる焼肉店で出てくるようなドロッとしたものとは大きく違って、かなり和風。「ホソ用」に関して言うと、和風だしに少ししょうゆ系の調味料を入れ、そこにユズ風味を加えている。「タレ用」は「ホソ用」をベースにタマネギなどの香味野菜を加え、やや辛味のある味わいに仕上げたもの。焼肉店で、こんなタレを経験したのは初めてだ。

まずは、タレにつけずに、そのままいく。食感はフワフワ。そしてジューシーだ。かむほどに良い感じの脂がにじみ出てくる。これはクセになる。次に「ホソ用」のタレにくぐらせてみる。「なるほどね」。和風にした意味が分かった。脂分が多いだけに通常の焼肉店のタレだとくどくなる。和風タレにユズ風味だから、さっぱりと食べることができる。ホソのうまさを損なうこともない。これはよく考えられている。1人前10切れで660円は、かなり安い。

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脂たっぷりのバラ肉が火まみれ……それはおいしい