
「羽田市場食堂」というちょっと奇妙な店名の、鮮魚を売りにした飲食店がある。「空」の玄関口である「羽田」と豊洲や築地のような「市場」がゴッチャになった名前は、少し違和感があるが、まあ良い。おいしいものを食べることができれば良いので。
とにかく「映える」豊富な具が大胆に盛り付け
2021年8月、「羽田市場食堂」池袋サンシャイン60通り店(東京・豊島)が開店した。場所は池袋駅東口のサンシャインへ向かう通り沿い。目の前が東急ハンズ、物件自体は長く牛めしの「松屋」があったところといえば、池袋をよく利用する方にはピンとくるだろう。この店がすごい。
何がすごいかというと、とにかく写真映えするのだ。
「羽田市場特上天丼」(1980円)は、丼から左右にハモの天ぷらが飛び出し、さながら空を飛ぶ飛行機の翼のよう。天ぷらの王道とも言えるエビは、中ぶりのものが2本付き、そのほかにもズワイガニと、ホタテとイカのかき揚げ、ニンジンやオオバなどの野菜、そして半熟卵の天ぷらも付いてくる。まさしくゴージャス。
「特上」だけではなく、すべてがコストパフォーマンスの良さにあふれている。「並」(990円)でも、ハモに加え、エビが2本、かき揚げ、オオバ、半熟卵が乗り、見るからにお得感がある。

もう一つの売りである、「ひつまぶし」も同じ考え方。「【上】海鮮ひつまぶし」は、イクラやホタテが「並」に比べて大盛りで、マグロのヅケやハマグリやトリガイなどが入って1800円。最後には無料の「はも昆布出汁(だし)」を加えて、お茶漬けにすることもできる。店で過ごす体験自体が楽しいのだ。
それは客の入りにも表れている。池袋店に行ったのは、平日の午後2時ごろ。普通はそれほど客がいない時間帯のはずだが、入店したらまだ客待ち。スタッフは「もう少々お待ちください」というと同時に、「すみません、注文も少しお待ちください」と付け加えた。

同店では、店に入ってすぐにあるセルフレジで注文する仕組みなのだが、客主導で注文を受け付けると、キッチンにその情報が通り、席が空く前に商品が出てきてしまうとのこと。こんな経験は初めてだ。