カレーの「プラットフォーマー」目指す

国内のカレー外食業界には、圧倒的な首位の「カレーハウスCoCo壱番屋」(運営企業は壱番屋)が存在する。店舗数は1500に迫り、ギネスブックが世界一と認めた。20年にはインド進出を果たした。

壱番屋の強みの1つはハウス食品グループ本社の傘下にあることだ。入手ルートが限られる各種のスパイスを安定的に調達するうえで、ハウスの調達力は頼もしい。宮森氏も「スパイス会社の買収も視野に入れている」という。その先に見据えるのは、ゴーゴー流の世界進出だ。

店舗を構える形でのビジネス以外にも手を広げている。「プロデュース」と呼ぶ業態は、カレールーをはじめとする主な食材の卸売だ。レストランや居酒屋、カラオケ店などを相手に、「ターバンカレー」の食材を販売する。

契約した店舗側はロイヤルティーや研修費の負担なしで、「金沢カレー」をメニューに加えられる。「一般的なフランチャイズとは異なり、既存店舗・業態のまま、カレーメニューを追加できる」と、宮森氏は魅力を説く。カツを揚げる設備があれば、追加の設備投資も不要だ。

英国やオーストラリアでは「カツカレー」が人気だ。しかし、名前は同じでも、日本の常識とはかけ離れた食べ物であることも珍しくないという。カツ抜きでも「カツカレー」と名乗るまがいものすらあるとされる。宮森氏は「カツが柔らかいから、ニューヨークでは年配客も多い。まだまだ海外で勝負できる余地は大きい」と、手応えを感じている。

ゴリラのロゴは松井秀喜氏の愛称「ゴジラ」に由来

企業体のありようとして思い描くのは、米グーグルや米アップルのような「プラットフォーマー」だ。複数のブランドや商品を展開し、顧客の課題解決を助ける。宮森氏が掲げる顧客メリットは「すべては、お客様の元気のために!」という言葉に凝縮されている。

ソニーの社長時代に平井一夫氏が唱えた「ソニーは感動を届ける会社」という宣言に、宮森氏は感じ入った。「では、自分の会社は何を届けられるだろう」と考えた末、「元気を届ける会社」という結論に至ったという。今ではレトルト商品のパッケージにも「元気の源」と書かれている。寿司やラーメンといった、日本発の料理に比べ、カツカレーは「食べた後、『さあ、頑張ろう』と、元気の出る食べ物。自衛隊の基地にも出店が決まった」と、強みを説明する。

「ニューヨークに出たい」という情熱から創業した宮森氏は既にニューヨーク州に8店舗を構えるまでになっている。しかし、今の目標はニューヨークの先にある。カレー文化の魅力を広めつつ、世界へ元気を届けることを目指す宮森氏は、優れた経営者や学者から学んだ教えを武器に「世界一から逆算して戦略を練っている最中」だという。「金沢カレー」というローカル食から始まった夢はインドカレーやハラールカレー、札幌スープカレー、タイカレーなど、様々なカレー文化を視野に入れながら、「世界一」へ向かう。