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濃厚ルーやカツ載せで知られる「金沢カレー」を広めた立役者がカレー店「ゴーゴーカレー」だ。しかし、運営会社のゴーゴーカレーグループ(東京・千代田)が公式ホームページで名乗っているのは「世界一のカレー専門商社」。なぜ、「カレー店チェーン」ではないのか。「世界一」のものさしは何か。創業者の宮森宏和社長に尋ねた。(前回記事「ゴーゴーカレー、なぜ東京発 原点は松井秀氏の本塁打」)

主力ブランドの「ゴーゴーカレー」は内外合わせて100店舗が目前に迫る。しかし、実は同グループが手がけているカレー店ブランドは「ゴーゴーカレー」だけではない。

「ゴーゴーカレー」の店内は黄色が目立つ

「ゴーゴーカレー」の店内は黄色が目立つ

宮森氏が創業前にカレーづくりを修業させてもらったのは、「元祖・金沢カレー専門店」を掲げる「ターバンカレー」(金沢市)だ。2019年に創業オーナーからの事業承継を受けて、今は同グループが運営している。金沢市の本店をはじめ、計5店舗に広げ、東京都や札幌市にも進出を果たした。

「自分が教わった師匠の店を残したいという気持ちが強かった」と、宮森氏は動機を語る。実際、運営を引き継いでも、ターバンカレーの味は変えていない。「ゴーゴーカレー」で練り上げてきた経営ノウハウを持ち込んで、継続しやすいしくみに変えた。

主に変えたのは「外観を黄色で目立たせ、トイレを男女別に分けたぐらい」という。女性や家族連れが入りやすくする工夫が客層の幅を広げた。

他社ブランドを受け継ぐ形のM&A(買収・合併)に乗り出したきっかけは、10年代から通い始めた経営塾だ。「日本一のM&A上手」とも評される日本電産の永守重信会長から受けたアドバイスが背中を押した。「『トップになるには、会社を買いなさい』と教えられた。目が開く思いがした」という。

経営塾に通ったのは、債務支払いの繰り延べ(リスケジュール)を金融機関に求めるまで追い込まれた、経営のつまずきがあったからだ。「経営のことがきちんとわかっていなかった。必要に応じて付け焼き刃的に知恵を補うのではだめだと感じて、基本から学び直し始めた」(宮森氏)。いくつかの経営塾やセミナーに通ううち、永守氏に教わる機会を得た。

店舗の数を増やすだけであれば、既存店を傘下に収めて、「ゴーゴーカレー」の看板を掲げれば済む。しかし、宮森氏は単純なブランド統一を避けて、M&Aに伴うブランドシナジー(相乗効果)を目指す。同グループが複数のカレーブランドを束ねる連合体のようなありようだ。ブランド統一で得られるスケールメリットよりも、こうした形態のほうが「多様な味や飲食スタイルのニーズにこたえやすい。それぞれのブランドが持つ文化も残せる」という。

国内の飲食業界では後継者不在を主な原因とする廃業が後を絶たない。創業オーナーが一代で築き上げた名店でも、後継者が見付からず、せっかくの味が途絶えてしまうケースが珍しくない。宮森氏はこうした状況を、事業承継の手法で防げると考えた。「既にターバンカレー事業は黒字化に成功している」(宮森氏)。

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