老舗インドカレー店も事業承継

事業承継を引き受けているのは、ご当地カレーにとどまらない。たとえば、宮森氏の地元、金沢で続く老舗インドカレー店の「ホットハウス」も17年に受け継いだ。

「ホットハウス」は宮森氏が若いころから足しげく通った店だ。「ゴーゴーカレー」を創業するにあたっても、「ホットハウス」の創業オーナーに相談していて、宮森氏とのつながりは深い。後継者が見付からない事情を知って、宮森氏から事業承継を持ちかけた。

18年にはビズリーチの事業承継M&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」を通じて、各地のカレー店からの募集を受け付け始めた。「地元で愛されていることが事業承継を引き受ける条件になる」(宮森氏)という。単にビジネスを引き取るのではなく、地域に根付いたカレー文化を預かるという立ち位置だ。

個人的なつながりがなかった事業も迎え入れ始めた。19年に買収したのは、東京都と神奈川県で店舗を展開しているインド料理店「サムラート」(運営は有限会社スニタトレーディング)の製造部門。この製造拠点は、イスラム教徒(ムスリム)の戒律に沿ったハラール認証を受けている。

ハラール認証を得た生産拠点を持つことによって、「ゴーゴーカレーグループの各店舗でハラール認証のメニューを提供できる体制が整った。インドを含む海外への進出にも意味が大きい」と、宮森氏は期待を寄せる。永守氏から受けたアドバイスを、宮森氏流に解釈し、世界市場をにらんで、グループの厚みを増した。

ゴーゴーカレーグループ創業者の宮森宏和社長

「カレーは奥が深い」と、宮森氏は繰り返して言う。日本には札幌スープカレーのようなご当地カレーがたくさんあり、タイカレーのような外国由来のカレー食も根付いている。近年は多彩なスパイスでオリジナルな風味を生む「スパイスカレー」がブーム。これら様々なカレー文化にも宮森氏は興味を示す。特色のはっきりした「金沢カレー」を軸に据えながらも、多様なカレーを呼び込んで、カレー文化を深掘りする宮森氏の懐は深い。

経営を学んだ宮森氏は企業ミッションを決めた。「美味しいカレーを世の中に広め世界を元気にする事」だ。「おいしいことが絶対条件。店舗数や事業ボリュームはものさしにならない」と、宮森氏は数字だけの成長を目指さない。

宮森氏がものさしに置くのは株式時価総額だ。「まずはユニコーンを目指す」という。「米アップルは直営店舗『アップルストア』の店舗数を誇ってはいないはず。店舗数を目標に設定するのは正しくない」と、店舗数を競いがちな外食ビジネスの「常識」を打ち消す。

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カレーの「プラットフォーマー」目指す