目立つ新潮流反映のワイン

試飲会では、そんな新潮流を反映したかのようなワインが目立った。例えば「ディアバーグ ヴィンヤード シャルドネ サンタ・マリア・ヴァレー 2016」(4950円)。トロピカルフルーツやココナツの香りを漂わせながらも、柑橘(かんきつ)系果物のようなさわやかな酸味が印象的なシャルドネだ。

「ディアバーグ ヴィンヤード シャルドネ サンタ・マリア・ヴァレー 2016」

サンタ・マリア・バレーはサンタバーバラの一部で、冷たいカリフォルニア海流の影響で真夏でも涼しい海風がブドウ畑に吹き付ける。そのため、ピノ・ノワールやシャルドネといった本来、冷涼な土地に適したブドウ品種が主に栽培され、果実味と酸味のバランスに優れたワインが多い。

「カンブリア ジュリアズ・ヴィンヤード・ピノ・ノワール 2015」

赤の「カンブリア ジュリアズ・ヴィンヤード・ピノ・ノワール 2015」(5060円)もサンタ・マリア・バレーのワイン。ストロベリーやクランベリーなど赤系果実の香りに加え、シナモンや土をイメージさせる複雑な香りの漂うエレガントなワインだ。

サンタ・マリア・バレーに代表されるように、カリフォルニアで最近注目のワイン産地には比較的冷涼な気候のところが多い。理由の1つが地球温暖化。夏場の気温が高すぎるとブドウの糖度が必要以上に上がり、アルコール度数がやたらと高く酸味の乏しいバランスを欠いたワインになりがちだ。カリフォルニアのワイン産地はもともと温暖な地域が多かっただけに、さらなる温暖化はマイナスの影響のほうが大きい。そのため、より冷涼な産地の注目度が高まっている。冷涼な気候のほうがエレガントなワインも造りやすい。

ナパバレーの西に位置するソノマも、カリフォルニア海流の影響を受け、比較的冷涼な気候で知られる。特にピノ・ノワールとシャルドネは評価が高い。

「ナカイヴィンヤード ナカイシャルドネ すっぴん エステートボトル 2017」

そのソノマのワインで印象に残ったのが、「ナカイヴィンヤード ナカイシャルドネ すっぴん エステートボトル 2017」(5500円)。東京出身の中井章惠さんがソノマのロシアン・リバー・バレーに所有する畑のブドウから造ったこのワインは、シャルドネには珍しい樽を使わないタイプ。新樽を使いワインに樽の香りを付けることを「化粧する」とも言う。樽を使っていない、ユニークなワイン名の由来は、化粧をしていない、ということにちなむ。完熟した桃や洋ナシの香りが印象的で、酸味とのバランスにも優れた1本だ。

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ピノ・グリの作付面積が大幅増