初実写映画化 出演者が語る『文豪ストレイドッグス』
対談 橋本祥平(芥川龍之介 役)×鳥越裕貴(中島敦 役)
マンガやアニメ、ゲームを原作とする舞台「2.5次元ミュージカル」。元祖といわれるミュージカル『テニスの王子様』を筆頭に、絶大な人気を誇る『刀剣乱舞』や『NARUTO-ナルト-』をはじめ、最新の人気マンガ作『僕のヒーローアカデミア』や『ブルーピリオド』まで、様々な作品が舞台化されている。
2019年に『刀剣乱舞』が『映画刀剣乱舞』として実写映画化してスマッシュヒットに。それに続くヒットが期待されるのが、『映画「文豪ストレイドッグス BEAST」』(1月7日公開/KADOKAWA配給)だ。
原作は、2013年から連載が開始され、シリーズ累計850万部を超える人気マンガ『文豪ストレイドッグス』(朝霧カフカ・原作、春河35・漫画)。
物語の舞台は、架空都市・ヨコハマ。自殺が趣味の太宰治を助けたことをきっかけに、太宰や手帳を操る国木田独歩ら、文豪の名を持ち異能を操る面々が集う「武装探偵社」に入った少年・中島敦が、芥川龍之介ら凶悪なポートマフィアと対峙する"異能バトル"だ。
16年にテレビアニメ第1期が放送され人気となり、18年には劇場アニメーションも公開。第4期の制作も発表されている。
『文豪~』の実写化は今作が初めて。通常の物語とは違う"逆転現象"を起こし、中島がポートマフィアに、芥川が武装探偵社に所属。「2人の所属する組織が逆だったら……?」というifの物語を描く。
キャストには、17年からシリーズ公演されている舞台版のキャストが集合。本作の主演を務める芥川龍之介役の橋本祥平と中島敦役の鳥越裕貴に、映画『文豪ストレイドッグス BEAST』の魅力や映画の見どころなどを聞いた。
男女とも楽しめ、文豪の勉強もできる
橋本 『文豪ストレイドッグス』に登場するキャラクターたちは、女性から見ても魅力的で引き込まれると思いますし、自分のように男性から見ても、あの繰り出される技の数々にはたぎるものを感じます。しかも歴史的に有名な文豪たちの勉強もできる。どの層、どの面から見ても楽しめて学べるというのが、この作品の大きな魅力なのかなと思っています。
鳥越 僕はアニメ版の第2期が放送している頃からこの作品を見始めたんですけど、それでも「なんや、このアニメは」とすぐにハマっていきました。それぐらい個々のキャラクターや脚本が濃密で飽きが来ないものになっているんですよね。原作の朝霧カフカ先生の言葉のチョイスも本当に素敵なんですよね。今のこの窮屈な時代に触れたら心が豊かになりそうな感じが、すごく好きです。
橋本 舞台版も、(演出の)中屋敷(法仁)さんが作り出す独自の世界観とプロジェクションマッピングが絶妙にミックスされていて、キャストも座長の鳥越くんを筆頭に個々の熱量が強くて。
鳥越 僕、舞台化のときに中屋敷さんからご飯屋さんで一緒に飲みながら「鳥越くん、虎になれる?」と聞かれたので「なれます、なれます、全然なりますよ」って言った思い出があるんです(中島敦は、巨大な白い虎になる異能を持つ)。で、案の定、本当に舞台で虎になることになって(笑)。このシリーズは今、橋本祥平が言ったようにそのときの役者にしかできないパワフルな演劇熱をぶつけ合って出来ているし、"文スト"愛も毎回ものすごく爆発しているんですよね。本当になかなかない現場で、もはや何かの異能力のお陰なのかなって思いますよね。
舞台のキャストがそのまま実写映画に
橋本 そして、そんななかでの実写映画化も純粋にうれしかったです。しかも舞台版のキャスト陣をそのまま使ってくださって。17年から始まって今までに積み上げてきた皆さんの"文スト"愛がこの映画の中に凝縮されたらいいなっていう思いで挑ませていただきました。
鳥越 映画はアクションが舞台とは全く違いましたね。舞台ではやっぱり大きくかつ迫力あるように見せるのが重要なんですけど、映像は数センチの(動きを見せる)レベルで調整が必要な世界だったので。舞台とは違う殺陣が演じられて面白かったです。
橋本 面白かったですよね~。あと(米『パワー・レンジャー』シリーズや日本の特撮作品監督で知られる)坂本浩一監督の撮り方が、とにかくすごくて。アクションシーンのアフレコをするために完成した映像を見せてもらったとき、感動しました。
鳥越 そのアフレコが終わった瞬間、祥平から僕宛てにメールが来て。「長文でこんなこと言うのもアレかもしんないすけど、言わせてください。やっべぇぞ!」って。
橋本 あははははっ!
鳥越 普段はあんまり連絡なんてしない人間なんですよ。そんな人がなんかもう、ずっとしつこいぐらいにメールを送ってくるから。「興奮してんねやな」とは思いつつも「うるさい」って返しましたね(笑)。
2.5次元舞台からの映像化では、2019年に公開された『映画刀剣乱舞』がヒット。今作について2人は、どういう目標を立てているのか。
鳥越 2.5次元舞台の映画化となると何か1個フィルターが掛かるかもしれないですけど、普通に映画として楽しめます。アクションシーンも盛りだくさんだし、脚本がいいですし。なおかつ、この作品は「もしも芥川と敦の立場が逆になっていたら」というifのお話なので、映画を見終わった後に本来の世界線に戻っていただいても楽しめるというか。この『文豪ストレイドッグス』プロジェクトは、本当にいろいろな面から楽しむことができるんです。その1つめの手がかりとしてこの映画を見ていただけたらうれしいなと。
橋本 そうですよね。原作(小説・マンガ『文豪ストレイドッグス BEAST』)を読まれている方も十分楽しめると思うんですけど、『BEAST』を知らない『文豪ストレイドッグス』ファンの方にも、ぜひ見てほしいですね。それくらい予備知識がなくても楽しめる作品だと思います。あと「このキャラクターと、このキャラクターの立場が逆転していたら、どうなるんだろう」という妄想は、僕もよくするのですが、それが今回は見事にかなっている作品なんです。知っているけれど全く違う"文スト"の作品を、ぜひ見てほしいです。
とりごえ・ゆうき 1991年3月31日生まれ、大阪府出身。ミュージカル『刀剣乱舞』、舞台『いとしの儚』、ドラマ・舞台『あいつが上手で下手が僕で』、音楽ユニットWINWINのメンバーとして活動するなど幅広く活躍している。
実在の文豪の名を懐くキャラクターたちによる"異能"アクションバトル。貧民街で生きる孤児の芥川龍之介(橋本祥平)は、ならず者たちの襲撃によって仲間の命を奪われ、実の妹・銀(紺野彩夏)も連れ去されてしまう。妹を捜す芥川は、その後、異能者たちが集まる武装探偵社に入社し……。原作は原作者・朝霧カフカが描いた小説『文豪ストレイドッグス BEAST』。
(ライター 松木智恵、日経エンタテインメント! 平島綾子)
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