女性のキャリアとライフスタイルを支援する月刊誌『日経WOMAN』(日経BP 東京都港区、編集長:藤川明日香)は、「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2023」の大賞者・株式会社クラシコム取締役 佐藤友子さん(46)を含む、今年の受賞者7人を決定いたしました。
佐藤さんは2006年に兄とクラシコムを創業し、インテリア雑貨や食器、アパレル、コスメなどを取り扱うECサイト「北欧、暮らしの道具店」を2007年に開業。既存のECサイトの枠を超えた多様なチャネルで独自の世界観を発信し、熱いファンを獲得。創業以来一度も資金調達することなく、2022年には年商51億円を突破、8月に東証グロース市場に上場を果たしました。そのビジネスの独自性や成功度、キャリアの築き方が評価され、今年の大賞となりました。
ウーマン・オブ・ザ・イヤー2023総括
コロナ禍、ウクライナ問題、円安と、2022年も世界が大きく揺れ動きました。そんな先行き不透明で誰もが不安を感じるこの時代でも、ウーマン・オブ・ザ・イヤー2023の受賞者7人に共通していたのは、自分の「好きなこと」「やりたこと」を貫き、壁にぶつかっても諦めずに成功をおさめたこと。「やりたいこと」を自己実現するためのキーワードとして審査員が挙げたキーワードは以下4つです。(1)やりたいことに価値を見いだす、(2)周囲をとことん巻き込む、(3)成熟した市場で独自性を出す、(4)自分の感性を信じて諦めない。「自分らしく生きることが人生を豊かにする」という価値観を信じて北欧文化を軸に事業展開した大賞の佐藤さんをはじめ、通常は削られる「無駄」に価値を見いだしたものづくりを突き詰めるクリエイター、10代のころに決意した事業承継を完遂した社長、「コロナ禍で口紅は売れない」セオリーをはねのけた開発者、日本のお菓子のサブスクで日本文化を世界に発信する起業家、難民認定待ちの来日難民をグローバル人材として就労支援するNPOの代表、いち早くオンラインイベントに商機を見いだした起業家――。自分の感性を信じて軸をぶらさず、壁にぶつかっても粘り強く進んでいく、そしてピンチのときには周囲を巻き込んで力を借りる。そうすれば、おのずと道が開けることを、今年の受賞者たちは示してくれました。
ウーマン・オブ・ザ・イヤー2023 受賞者
株式会社クラシコム 取締役 佐藤友子さん(46歳)
共感を呼ぶ独自メディアでECサイトに熱いファンを獲得。
年商51億円を突破し、東証上場も果たす

佐藤友子(さとう・ともこ)さん
1975年神奈川県生まれ。高校卒業後、アルバイトや契約社員として職を転々とした後、結婚。インテリア事務所を経て兄とクラシコムを創業し、ECサイト「北欧、暮らしの道具店」を開業、現在に至る。1児の母。
2006年に兄である青木耕平さんと佐藤さんが創業。「フィットする暮らし、つくろう」をミッションに、雑貨、アパレル、コスメなどの物販や、暮らしにまつわるコンテンツ配信を手がけるオンライン・プラットフォーム「北欧、暮らしの道具店」を運営。読み物などのコンテンツを充実させるだけでなく、YouTubeやSNSなど多様なチャネルで独自の世界観を伝え、それに共感した熱量の高いファンも多い。2022年8月に東証グロース市場に上場。
佐藤さんは2006年に兄の青木耕平さんとクラシコムを創業し、食器やインテリア雑貨、アパレル、コスメなどを取り扱うECサイト「北欧、暮らしの道具店」を2007年にスタート。「北欧、暮らしの道具店」の店長として、独自の世界観をつくり上げてきた。ECサイト上に、商品紹介だけでなく、暮らしに関するコラムやレシピ、インタビューなど月70本の記事を更新。読み物を充実させ、「売り場」ではなく、「モノやコトに出合える場」にすることを徹底してファンを増やしてきた。多様なチャネルでファンとつながりをつくっており、メルマガやYouTube、インスタグラムなどの登録者数は延べ560万人。2018年には初製作したYouTubeのオリジナルドラマが好評を得てシリーズ化し、映画も製作。隔週日曜日に配信しているインターネットラジオは累計再生1200万回超えという人気ぶりに。今年8月には、創業当初から一度も資金調達せずに、東証グロース市場に上場を果たした。
「好きなこと」を仕事にして大成功を収めた佐藤さんだが、実は10代、20代は職を転々とし、「何をやっても続かない」と自分を否定し続けていた時期もあったという。常に悩み、失敗を経験しながらも、自分のすべきことを模索して誠実に取り組んできたことが、現在のキャリアにつながった。顧客や従業員にとって居心地のいい場をつくることにフォーカスする生き方、自分にフィットする経営者像を体現する姿は、自分らしい生き方を模索する多くの働く女性を勇気づけるロールモデルになると編集部は考えている。