――日用品容器のリサイクル技術の開発はどのような段階ですか。
「使用済みのポリエチレン製ボトルを再生し、ボトルとして使う技術は確立しつつあります。旭化成と当社などが、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を受け、共同で実施しています」
――CLOMAではプラスチック使用量の削減を目指すワーキンググループのリーダーとしても積極的に活動していますね。
「ワーキングのメンバーの企業と活発に意見交換し、主に2つの課題に対応しています。第1にプラスチック使用量の削減に役立つ百科事典のようなものをつくりたいということです。2030年までに容器包装に使う化石資源由来のプラスチックの排出を25%削減する目標を掲げています。個社の活動では限界があるので、会員などが持つアイデアや成功事例を1カ所で検索できるようにしたい。関係者にお願いしてCLOMAのウェブサイトから各種の事例集や統計にアクセスできるコーナーをつくっています」
「もう1つ、こちらは野心的な目標なのですが、ブロックチェーン技術を活用し、サプライチェーン全体でプラスチックがどのくらい使われているのかを把握できる仕組みをつくりたい。供給、使用、廃棄の各段階でプラスチック関連の統計はあるのですが、現在は数字が点在していて、つながっていません。石油由来のプラスチックを削減する目標を掲げてはいるものの、現状では、量の把握に課題があります」
――ライオンはプラスチックの使用量をどのくらい減らしてきたのですか。
「2020年度までの25年間で41%削減しました。これは洗剤やシャンプー、ハンドソープなどの容器に使った樹脂量を、内容物の生産量で割った原単位ベースの数字です。仮に当社の商品の販売がふるわない場合、樹脂の使用量も減るので、こういった影響を取り除いた、環境対策の効果を反映しています」
――どのようにして減らしたのですか。
「4つの方法があります。まず洗剤など本体のボトルに使うプラスチックの使用量削減です。強度などを損なわないようにボトルの設計を工夫し、少量でも機能を発揮できるように改良してきました。洗剤など8分野での濃縮品の出荷は直近の10年で1.6倍に伸びました。2つ目は詰め替え用の品ぞろえ拡充です。詰め替え用の出荷比率は全体の8割程度にまで上昇しました」
「容器のリサイクルにも取り組んでおり、当社でも再生PETを採用しています。石油の使用量を減らし、再生可能な原料を使うことも重要です。洗濯用洗剤の『トップ スーパーNANOX』の詰め替え容器には植物由来のバイオマスプラスチックを使っています。使ってもまた育つ植物を原料に使うことで、温暖化ガスの削減に貢献できるのです。2030年には再生プラスチックと植物由来のプラスチックの使用量を17年比で2倍に増やす計画です」

――容器に再生樹脂を使っていることを表示してないと消費者は見分けられません。
「表示方法については今後、工夫していきます」
(毛利靖子)