岡野知道・ライオン執行役員「連携の輪が広がれば、社会が変わる」

日本でプラスチックの循環利用を進めていくには、どんな視点や仕組みが必要でしょうか。ライオンで環境戦略を担当する岡野知道執行役員に企業間連携の現状や今後の課題を聞きました。

――ライオンは日用品の容器のリサイクルで同業の花王や、異業種との連携を積極的に拡大しています。何がきっかけだったのですか。

岡野知道・ライオン執行役員

「5年ほど前、花王の長谷部佳宏常務(現・社長)とリサイクルで協力できないか、非公式に相談しました。業界大手の花王とライオンが組めば、インフラ作りの最初の一歩になるのではないかと考えたのです。プラスチックの使用量削減やリサイクルは地球規模の課題です。当社も早急に対応が必要と考えましたが、リサイクルや技術開発は一定規模の量がないと効率が悪く、単独でやれることには限界があります」

「本業や環境対策で創意工夫を重ねることは大切です。ただ、地球規模の環境問題など社会的価値がある分野では、知恵を出し合いながら多様なステークホルダーの理解を得て、協力し合えばよいのではないかと考えます」

――どんな事例を参考にしましたか。

「ペットボトルのリサイクルです。飲料用などに使われるペットボトルは日本では無色透明ですが、以前は色つきのものもありました。飲料業界内で交渉してボトルの色や構造などの仕様を統一し、一定量をまとめてリサイクルできるようになったからこそ、経済合理性が生まれました」

――飲料に比べると日用品の流通は複雑で、容器の仕様も多様です。ハードルをどのように乗り越えようとしているのですか。

「環境対策での連携の輪を同業という横だけでなく、縦、つまり原料・容器メーカーからブランドオーナー、小売り、商社、リサイクル事業者までのサプライチェーン全体に広げる必要があると考えました。中島みゆきさんの歌の歌詞を思いだしてください。同業大手で協力できたとしても、『糸』のような存在です。糸を太くしていくこと、そして、サプライチェーンの要所のプレーヤーにも仲間に加わってもらうことで、『布』になる。そうなって初めて、社会を変えることができるのではないかと考えました」

「関係者のこの発想をかたちにしたのが、業界横断でプラスチックの課題に対応する官民連携組織のCLOMA(クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)です。2019年1月に設立しました。10月時点での会員企業・団体は459と設立時に比べ3倍近くに増えました。課題ごとにワーキンググループを設置し、アイデアを持ち寄っています。会員同士の交流がきっかけとなり、使用済み容器を共同で回収してみたり、素材・技術開発が成功したりといった事例が続々と生まれています」

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