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「高度化されたスキルを持っていると、他の領域にも転用ができます。使えるスキルが多いと、それらを組み合わせて、自分特有のスキルへと昇華できます」。ビジネススキルに詳しい組織コンサルタントの堀公俊氏は新刊の「ビジネススキル強化メソッド」(日本経済新聞出版)の中で、このように話す。では、どのように身に付けるべきスキルを見つけ出したらいいのか? NIKKEIリスキリングでは、同書の第3章「自分にふさわしいスキルを見つけ出す」を連載で紹介する。

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◆時には偶然の力を利用する

キャリアの舵を切り直した

計画ができたら、後は実行あるのみです。進捗をチェックしながら、目指す姿に向けて歩みを進めていきましょう。

とはいえ、一旦決めたからといって、金科玉条のごとく計画通りに進めるのがよいとは限りません。時には、偶然に起こった出来事に身を任せ、思い切って路線変更を試みるのもひとつの方法です。

事例  都内のIT 企業に勤めるEさんは、プログラミングの技術を極めようとスキルアップに余念がありませんでした。持てる技術をアピールして外資系の先端企業への転職を目標としていたからです。
 ところが、人材開発の仕組みを全社的に見直すにあたり、勉強熱心でいつも研修で目立っていた彼女に白羽の矢が立ちました。開発チームの代表として、人材開発部門に異動して智恵を出すようにというのです。事情は理解できるものの、突然降ってわいた異動に納得できないまま、不承不承席を後にしたのでした。
 ところが、人材開発部門に行って分かったのは、これこそが会社の命運を左右しているということです。やりがいもあり、意外に自分に合っていることも発見しました。人材開発の仕事であれば、歳を取ってプログラミングの腕前が鈍ってきても、会社や社会に貢献できます。
 そう考えたEさんは、元の部署に戻る約束を断り、腰を据えて人材開発部門で働くことを選びました。キャリアの舵を切り直したのです。

とりあえず乗ってみるのも悪くない

これが、 J.D. クランボルツが提唱する計画された偶然です。急な転勤や会社の倒産といった予想外の出来事が起こったときに、偶然の力を使ってキャリアを開発していこうという考え方です。

キャリアドリフトとも言います。単に何かが起こるのを待つのではなく、偶然を計画的にデザインしていくのがポイントです。

偶然は、新しいことへの好奇心、努力し続ける持続性、ポジティブに考える楽観性、こだわりを手放す柔軟性、リスクを取る冒険心を持つ人に起こりやすいと言われています。まさに「幸運は備えある心に宿る」(L.パスツール)です。

だからといって、目標や計画が要らないわけではありません。とらわれるのがよくないだけです。判断の軸をしっかり持っておかないと、状況に流されるだけになります。デザインとドリフトを組み合わせるのが賢いやり方です。

仕事やスキルに限らず、偶然新しいものに出合ったら、とりあえず乗っかってみる。自分の限界を打ち破る優れた方法のひとつです。好奇心のアンテナを張り巡らせて、貴重なチャンスを見逃さないようにしましょう。

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