検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

AIで薬の開発を効率的に 候補を探し、安全性を予測

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

長い年月と多額の費用が必要な医薬品開発に、人工知能(AI)技術を応用することで、効率化を目指す動きが広がっています。医薬品の候補となりそうな化合物を探したり、安全性を予測したりする際にAIの力を借ります。自然言語処理AIで医学論文を読み込んで候補物質を探すといった、新しいアプローチも始まっています。

ドイツの医薬・化学大手メルクの創薬責任者によると、同社は「低分子医薬品」と呼ばれる化学合成で作る薬の開発では「すべての創薬プロジェクトでAIを活用している」といいます。同社は現在、多発性硬化症向けなどAIで見つけた2種類の医薬品候補の臨床試験を進めています。

AIで発見した薬剤候補の臨床試験は日本でも進行中です。大日本住友製薬がAI創薬技術を持つ英エクセンシア社と共同開発した強迫性障害向け治療薬の候補です。AIを使うことで「業界平均で4年半を要していた候補物質の探索研究が1年未満で完了できた」(大日本住友製薬)といいます。

新薬の開発では開発初期の段階で有望と見られた候補化合物のうち、製品化にいたるのは数万分の1と極めて確率が低く、開発期間が10年を超えることも珍しくありません。製薬業界では開発の効率化が課題で、その切り札としてAIへの期待が高まっています。

分子サイズが大きい抗体医薬品などでも創薬にAIを使う動きがあります。独メルクや米ファイザーなど医薬4社は21年10月、コンピューター上でたんぱく質を設計する技術を持つイスラエル企業のAION Labsへの出資を決定。「動物実験が不要な抗体医薬開発を目指す」(独メルク)考えです。

日本でも、医薬品開発にAIを応用する新しい技術やアプローチが生まれています。九州大学などの研究グループは21年9月、病気の原因となるたんぱく質の構造を調べなくても、そのアミノ酸配列の情報から治療薬を探すAI技術を開発したと発表しました。この技術を使って、現在緑内障などに使われている薬剤が、新型コロナウイルス感染症の治療に有望な化合物であることを見いだしたとしています。

自然言語処理AIを活用したデータ解析を手がけるFRONTEO(フロンテオ)は、AIに医学論文や化合物データベースを読ませ、候補物質を探す技術を実用化しました。「人の力だけで読むのは不可能な膨大なデータをもとに、バイアスのない評価ができる」(同社)といいます。

製薬企業が同社のシステムを使って開発を進めているほか、同社は21年12月には創薬プラットフォーム事業を手掛けるアクセリード(東京・港)と提携。AIを用いて医薬品開発における候補物質の可能性を評価する共同事業に乗り出しています。

独メルク・医薬研究統括のジョン・ピーター・ハル氏「開発期間短縮などに効果」

グローバル製薬企業は創薬への人工知能(AI)の利用をどのように進めているのか。独メルク社で創薬プロジェクトを率いる医薬研究統括のジョン・ピーター・ハル氏に、AI創薬の成功例や、今後のAI活用の計画を聞きました。

――独メルクでの創薬へのAI活用はどのような方針で進めていますか。

「医薬品開発のうち、低分子医薬品とよばれる比較的小さな分子構造のものについては、現在すべての創薬プロジェクトでAIを活用しています。医薬品開発はAIなどコンピューターを使う開発手法と、化学実験など従来型の手法に分けられますが、そのどちらかだけというのではなく、両者を適宜組み合わせて低分子医薬品を開発しています」

――AI創薬で具体的な成果は上がっていますか。

「臨床試験の段階に達している例としては、神経難病である多発性硬化症の治療薬候補が第3相臨床試験の段階で、これまでに良好な成績を収めています。また(膠原病の一種である)全身性エリテマトーデスの治療薬候補が第1相臨床試験の段階です」

――それらの開発でAIをどのように使ったのですか。

「開発の2つの場面でAIを使いました。まず病気に関連するたんぱく質に作用して、その働きを阻害する化合物を選ぶことです。どのような分子構造にすればたんぱく質によくフィットして働くのか、その最適な条件を予測することにAIを使いました。 薬剤の候補となる低分子とたんぱく質の間に働く相互作用を調べて、場合によってはその相互作用によって、たんぱく質の構造がどう変わるのかというところまでシミュレーションしました。このために自社の化合物ライブラリーを使いました」

「2番目は、こうして選択した化合物の安全性をチェックすることです。薬剤候補を臨床試験で患者に投与する際にどのような副作用があるか、安全性に問題がないかの見通しを立てることが必要で、そこにAIを使います。ここでは自社のデータに加えて、欧州などの製薬企業が参加する『MELLODDY』という創薬コンソーシアムのデータを活用しました。MELLODDYには参加各社が安全性に関するデータを持ち寄っており、参加企業が自社の創薬に活用することができます。これらのデータから安全性や副作用を予測するAIのアルゴリズムを作ります。アルゴリズムで薬剤候補を分析し、安全リスクが低いと判明したものを実際に合成します」

――創薬にAIを使う利点はどこにありますか。

「低分子医薬品の開発プロジェクトのすべてでAIを活用することで、開発スケジュールが短縮されるだけでなく、開発のクオリティーを上げられると考えています。医薬品として活性の高いものが選択でき、開発プロジェクトの成功確率が上げられます。同時に安全性の問題を予測して、問題のありそうなものは早い段階で除外して、リスクの低いものだけを残して開発を進めることで効率を高めることができます」

「一方で、抗体医薬品など低分子医薬品以外のタイプの開発では、まだAIなどの技術を本格的には使っていません。しかし低分子医薬品での開発にAIを使った手ごたえが大きいので、将来は抗体医薬品や遺伝子組み換えたんぱくなどバイオ医薬品の開発でも、AI創薬を検討したいと思います」

――バイオ医薬品の分野ではどのようなアプローチを考えていますか。

「2020年に米アルファベット傘下の英ディープマインドが、たんぱく質の構造をアミノ酸配列から正確に予測するAIモデル『アルファフォールド2』を発表しました。これを活用し、独自のアルゴリズムを開発し、有用なたんぱく質の構造を検討できると考えています。まだ実用段階ではありませんが、こうしたAIモデルを抗体医薬品の研究につなげていくことができると期待しています」

「抗体医薬などの分野の研究を進めるため2021年10月、アストラゼネカ、ファイザー、テバ・ファーマシューティカル・インダストリーズ(イスラエル)の医薬3社とともに、イスラエルの創薬関連のスタートアップであるAION Labsに投資したことを発表しました。抗体医薬品をAIを使って、コンピューター上でゼロから作ることを目指します。この事業にはアマゾン子会社でクラウド事業を手掛けるアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)も参加します。動物実験を行うことなく、従来の手法では得られなかったような有用な抗体医薬品を開発したいと思います」

(編集委員 吉川和輝)

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_