「未来」を見据え、不眠改善の目的を考える

「今」の先にどのような「未来」を見るかも大切です。「不眠を良くしたい」という思いはとてもよく分かりますが、「良くしたい」理由は人それぞれです。「不眠が良くなれば……」の後に続く文章を考えると、分かりやすいかもしれません。まさか、「不眠が良くなれば、いつ永眠しても構わない」という人はいないでしょう。つまり、不眠の改善は人生の目的ではなく、目標の1つにすぎません。不眠が怖い人と怖くない人との違いは人生の目的(言い換えると、どんな生き様でありたいか)が明確であり、その方角を見失わないための方位磁針を持っているかどうかも関係します。目標はその人生行路にある1つの旗印にすぎず、立ち止まることもできれば、持ち歩くこともできるのです(図2)。

不眠が怖くない人は「過去」と「今」を混同せず、「未来」を見据えている人ともいえるでしょう。不眠を治すことだけに熱中するのではなく、人生行路の中で起きた不眠の意味を考え、どう向き合うかを考えていくことが大切です。

岡島 義(おかじま・いさ) 
東京家政大人文学部心理カウンセリング学科(睡眠行動科学研究室) 准教授。博士(臨床心理学)。日大文理学部卒、北海道医療大大学院博士課程修了。早大人間科学学術院助教などを経て2018年より現職。毎日8~9時間睡眠をとると快調だと気づき、夜9時に寝て朝5時ごろ起きる生活を続けている。

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