「皮があるから、音がする」 天然羊腸の魅力をアピール

皮のある本格的なソーセージは当時、レストランなどで高級品として扱われていただけで、一般消費者の家庭にはまだなじみが薄かった。シャウエッセンにも発売当初は「なぜ皮があるのか」「皮をむいてから食べるのか」といった問い合わせが多かったという。

発売にあたって、日本ハムの関係者が頭を悩ませたのは、皮があるおかげで味わいが深く、食感も心地よいという長所を、本格ソーセージに初めて接する消費者にどうやって理解してもらうかだった。シャウエッセンの特徴を生かそうと、イメージの伝わりやすい表現を探し求めた。

言葉を磨いた末に生まれたキャッチコピーが「美味なるものには音がある」だった。本格的なウインナーには皮があるという点を、象徴的な「音」に託して言い表した傑作コピーといわれる。

シャウエッセンをかじったり折ったりしたときに、皮が弾けて「パリッ」という音がすることを、「おいしさの特徴」として打ち出した。まだ「食感」という言葉が広まる前の時代に、新たな楽しみ方を先取りして示した格好だ。

日本ハムでシャウエッセンを担当する小村勝・加工事業本部マーケティング推進部長

食べ方の提案も新鮮だった。「焼くのではなく、ボイルする、湯せんする調理法を訴求しました。当時、ソーセージをゆでるという発想は日本になかったと思います。そこで、食肉店やスーパーでの試食販売に力を入れました」。日本ハムに入社した88年から店頭での販売促進活動に携わってくることが多かった小村氏は、当時の状況をこう解説する。今では一般的になった、家庭でソーセージをゆでるという調理法もシャウエッセンが広めたとされる。

ボイルして簡単に食べられる点や、パリッとした音、豚肉100%の味わいなどを実感してもらうには、店頭で実際に見て、食べてもらうのがよいと判断した日本ハムは試食販売に力を入れた。パリッという音を主役に据えたテレビCMと、味も感じてもらえる試食販売の両面作戦が始まった。

当時の主な販売ルートだった食肉店や、台頭しつつあったスーパーでの試食販売は手ごたえがあった。「CMで訴求したパリッとした音を確かめようとしたお客様が実際に食べて実感できたことから、販売実績が急激に伸びていきました」(小村氏)。価格は当時の170グラム・7本入りのパッケージで630円。その頃に最も一般的だったウインナーよりも3倍近い価格だったにもかかわらず、シャウエッセンはヒットした。売上高は発売の初年度に100億円を突破し、4年目の88年度には300億円を超えたという。

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