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第1作を手にする小野訓啓さん

第1作を手にする小野訓啓さん

長年、地銀マンとして勤務し2022年6月、銀行を退任したのを機に作家デビューした人がいる。めぶきフィナンシャルグループや傘下の足利銀行(宇都宮市)で取締役などを歴任した小野訓啓さん(65)だ。オー・クンケーというペンネームで今夏、「二十世紀のおとぎ話~三人の王子と二人の王女の物語~」(幻冬舎刊)と題する本を出版。文章の書き方を伝授するいくつかの出版社が主催するセミナーを受講し、「書くこと」についてイチから学び直そうと思ったことが、「第二の人生」を踏み出す一歩になった。

◆もともと文章を書くのは苦ではなかった

栃木県足利市出身の小野さんは東京の大学を卒業後、Uターンし地元が拠点の足利銀行に就職した。入行3年目の年(1982年)にあった足利銀行の将来の展望をテーマにした行内懸賞論文コンクールに応募し、いきなり最優秀作に輝いている。これからの銀行は「コンビニエンス(利便性の高さ)、コンサルティング(顧客の抱える問題解決策を共に考え、示す)、コンシエンス(良心を持って銀行の社会的責任を果たす)」の「3つのCを持ったトータル・コミュニティ・バンキング」が欠かせない――。自身の考えと熱い思いを原稿用紙にぶつけた。

「地銀には入ったものの、希望したのは東京や大阪など都市店舗での法人取引の仕事でした。ところが、最初に配属されたのは群馬県内の支店で、その後間もなく、その支店の出張所へと異動しました。出張所は支店以上に規模が小さく、まだ若かったからこそ、くさってもいました。論文コンクールはちょうどそんなタイミングでした。自分の考えが理解できないような銀行なら、いっそのこと辞めてしまえ、という思いで書いたのを覚えています」

小野さんの年賀状は毎年びっしりと文面をつづるのがスタイル

小野さんの年賀状は毎年びっしりと文面をつづるのがスタイル

応募した理由を、そう振り返る小野さんだが、もともと文章を書くこと自体、苦ではなかったという。学生時代には友人のリポート代筆を請け負うバイトもしていた。年賀状はもっぱら、その年の干支(えと)にちなみ、自分が調べたことや思いをぎっしり書きつづるのが定番だ。

2019年には、文章だけの童話の公募に応じたこともある。5~6歳から小学校低学年までの児童を想定した内容で、分量は見開きで17ページ程度の内容だった。「二十世紀のおとぎ話」の土台となった「王子と王女の強いもの探しの旅」という物語を2カ月ほどで書き上げた。しかし、結果はボツに。「読者のグレードを勘違いしている」「絵本の文章になっていない」。ホームページに掲載された選考委員の講評は惨憺(さんたん)たるものだった。

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