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地域や国を変えたい、そんな思いはあっても、政治と聞くと「資金力や知名度がないと無理」「自分とは縁遠い世界」と尻込みしてしまう女性は多いのではないだろうか。だが地方議会選挙では今、三バン(地盤・看板・カバン)なしでの選挙に挑み、当選を果たす女性らが次々と登場している。2023年には統一地方選挙が控える。工夫次第で女性活躍の場は広がる。

動画で政策PR、SNSを駆使

「通学路に危険なところがあります。早めに対策してほしい」「では今度、一緒に歩いてみましょう」。21年11月25日、つくば市議の川久保皆実さん(35)はオンライン会議でママ友らと意見交換していた。

東京で弁護士として働いていた川久保さん。20年7月に夫、2人の子どもと共にUターンし、20年10月の市議会選挙に立候補した。

きっかけは新型コロナウイルスの感染拡大とテレワークの普及を受け「生まれ育ったつくば市で子育てしたい」と考えたからだ。引っ越してみると子育てや教育環境の整備の遅れが目に付いた。「改善を求めるなら議員として活動した方が発言力がある」。そう考え、出馬を決意したという。

選挙には地盤、看板(知名度)、カバン(資金)の三バンが必要とされる。だが政治の経験も知名度もない。資金も潤沢ではない。そこで新たな形での選挙運動を目指した。準備は自宅の書斎で行い、選挙カーもなし。街頭演説はせず、代わりにたすきをかけて公園や歩道でゴミ拾いをした。

活用したのはSNSだ。最も人手を必要とするのは、市内約460カ所の掲示板に選挙ポスターを貼ること。後援会など支援組織がないため、フェイスブックページやツイッターで協力者を募った。すると学生から60代まで18人が集まった。謝礼は公職選挙法が認める報酬の範囲内だ。

政治活動を通じてつながったママ友らと意見交換するつくば市議の川久保皆実さん(つくば市)

政治活動を通じてつながったママ友らと意見交換するつくば市議の川久保皆実さん(つくば市)

また街頭演説の代わりに、自身の公式ウェブサイトや動画サイト「ユーチューブ」で公開するPR動画の作成に力を入れた。動画では子育て支援制度の改善を強調。撮影、編集はプロに依頼して質を高めた。

結果、無名の新人にもかかわらず、41人中3位で当選。川久保さんは「仕事や家庭を犠牲にしなくても当選できる。私の姿を見て、行動に移す人がもっと増えれば」と語る。

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