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多様な働き方を選べる時代。一方でキャリアをスタートさせる20代にとっては、どこに向かって走ったらいいか見えず、困惑する人が増えています。しかも長引くコロナ禍でリモートワークが常態化し、気軽に相談できず、孤立するケースも少なくありません。連載「20代のおしごと相談室」では、様々な職場を見てきた経験豊富なプロフェッショナルが、迷える20代のモヤモヤに答えていきます。

◇  ◇  ◇

お悩みに向き合うのは、30社以上で産業医を担当し、メンタル問題に詳しい大室正志さんと、人工知能(AI)などテクノロジーに精通するコンサルタントで、起業やキャリア系のイベントにも多数登壇する経営共創基盤・共同経営者の塩野誠さんです。

今回の相談者はIT(情報技術)ベンチャーに勤める社会人2年目の男性Aさん。学生時代には世界一周や長期インターンなど活動的に過ごした一方で、「やりたいことが見つかっていない」ということがずっと心に引っかかっていると言います。まずAさんの状況とお悩みを見ていきましょう。

お悩みカルテ #1


「転職しても、やりたいことがわからない」(ITベンチャー勤務、25歳男性)

 社会人2年目の昨春、老舗メーカーからIT企業に転職しました。退職を考えたきっかけは、確約されていたはずの新規事業の部署ではなく店舗への配属だったこと。それがきっかけとなり、会社で成長する自分の姿が見えなくなってしまいました。学生時代にIT企業でインターンしていたときの方が成長している実感があったし、周囲の学生や先輩も輝いている人が多かったのです。
 新卒の就職活動は自分の軸がなかったのでうまくいきませんでした。そして転職活動の面接でも聞かれるので、改めて考えましたが、やりたいことがいまだにわからない。それがずっとモヤモヤしています。子どもに関わるバイトをしていたこともあり、家族を大事にしたいという思いはありますが……。やりたいことはなくてもいい、という論調もあるけど、好きなこと・やりたいことが見つかって仕事をしている人の方が幸せそうに見えます。ひとまずITスキルを身につけようと思って今の会社を選びましたが、仕事をライスワーク(お金を稼ぐためにする仕事)だと割り切れない自分がいます。

小さな自信がないとつらくなる?

大室 まさに「もやもや」という感じですね。「ライスワークだと割り切れない」という悩みは産業医面談中にもZ世代の方からよくお聞きします。私より年長者だと「金もらってるんだから、とりあえず手を動かせ」というような意見が多いですが……。

塩野 今の20代やZ世代の方と企業のマネジメント層との間では、仕事やキャリアの考え方に本当に大きなギャップがあるように思います。

産業医の大室さん(写真右)とコンサルタントの塩野さん(撮影=山田麻那美)

産業医の大室さん(写真右)とコンサルタントの塩野さん(撮影=山田麻那美)

大室 かつては就活にも「就職偏差値」のようなものがあって、いい待遇の会社に行きたい、そのためにこういう勉強や経験をするといい、という道筋があったわけですが、今は違うんですよね。「自分のオーダーメードのキャリアが欲しい」という人が増えてきた。偏差値の呪いからは脱しているけど、一方で、じゃあ何をすればいいのか、という悩ましい時代なんですよね。

塩野 Aさんは自己実現したい人なんですかね?

大室 最初読んだときに、ウェルビーイング(幸福感)な方向に軸足を設けているのか、あるいは、社会で目立つ何者かになりたいのか、Aさんはどっちなのかな、というのが気になりましたね。たぶん両方あって、それが自分でも明確になってないんじゃないでしょうか。

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