ポール・スチュアート 素材の良さが際立つ知的な色気

頼りになる大人の男性はいつの時代もモテるもの。知的で華やか、しかも優しそう。そんなおいしいとこどりの男性の印象を与えるのがこちらのポール・スチュアートの紺ブレザーです。1950年代~60年代のアメリカングラマラススタイルを確立した、ケーリー・グラントやフレッド・アステアなどきら星のようなスターがインスピレーション源なのです。いかにもハリウッドなその幅広なラペルが知的でパワフル。けれど、決して威圧的でない、むしろ優しい印象を与えるのは、その巧みなディテールの仕込みぶりにあり。

肩パッドを抜き、なだらかなショルダーライン。打ち合いといわれる前身ごろの重なり具合も従来よりは浅め、Vゾーンもやや低めにし、今時らしい抜け感のある印象も加味。しかも、このブレザーにはさらなる女性をおもてなしするディテールがあります。それが、その生地感。低速でゆっくり織られた生地は遠目にもラグジュアリーで、いかにも肌触りが良さそうな起毛感があります。良い素材は思わず触ってみたくなるのが女性というもの。女心をくすぐるエグゼな紺ブレの白眉です。

クリエイティブディレクター、鴨志田康人さんのこだわりが壮年の魅力をぐんと引き出します。金ではなくコッパーカラーのボタンというのも知的な印象。ブレザー12万1000円、セーター6万9300円、パンツ4万4000円(ポール・スチュアート/ポール・スチュアート 青山本店)

PTトリノ ストイックで艶っぽい二面性

隙のないスーツに眼鏡、いかにも仕事のできる女性上司が、ふとした瞬間に見せる少女のような笑顔。そう、そんな想定外のギャップが恋の引き金になるのは往々にしてあること。え? そんな一面が? なる驚きは異性の好奇心を刺激し、「もっと知りたい」とグンと異性の心を引きつけます。それが一発でできるのが、そうこちらの紺ブレ。

ミラノのおしゃれ番長として名高いドミニコ・ジャンフラーテ氏がファッションディレクターのPTトリノの紺ブレはやはり一筋縄ではいかないもの。ゴージラインをかなり低く設定し、モード感を漂わせつつ、ビンテージ調の黒のボタンの組み合わせが艶っぽい印象を添えています。

ストイックで艶っぽい、異性をひきつけるギャップ効果が満点ですが、さらにその印象を決定づけるのが裏地です。この紺ブレのライニングは豹(ひょう)柄。ちらり、と見えれば「え……!?」とその意外性に女性であれば誰もが注目するのは確実です。紳士な顔して、時々ワイルドな男性を演出できちゃう「1粒で2度おいしい」1着です。「全く、目が離せないんだから」と、そのギャップに女の好奇心がマックスになるのは自然な流れ。久しぶりに社交シーズンが本格化するこの冬。備えておいて損はなしです。

制服萌えな女心を刺激しつつ、一筋縄でいかないおしゃれっぷりを印象づけることができそうです。ブレザー15万9500円/ピーティトリノ(PT JAPAN)
清水久美子
ファッションディレクター。大学卒業後、銀座和光を経て、婦人画報社(現ハースト婦人画報社)入社。25ans(ヴァンサンカン)編集部で活躍後フリーとなり、ラグジュアリーなスタイルを得意とするスタイリストに。男性向けスタイリングの提案、商品企画も手がける。

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