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性別による賃金格差を是正するため、男女別の賃金データを企業が開示する動きが広がりつつある。優秀な人材を確保し、会社への貢献度を高めるには賃金体系の透明性が欠かせない。海外では企業に開示を義務づける国が少なくない。開示によって格差の原因を明らかにし、是正のための取り組みにつなげることが求められる。

ジョブ型雇用でも男女に賃金差 継続的な取り組み不可欠

「性別による賃金格差は本当にないのか」。米ニューヨークに本社を置くアメリカン・エキスプレスでは4年ほど前、世界6万3千人のグループ従業員について賃金を調査した。Diversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包括性)(=DE&I)を企業戦略の中核に据えるにあたり、会社が社員に対して公平に向き合っていることを確認する必要があったのだ。

もともとジョブ型雇用制度を採用し、報酬は職責や成果に連動しているため、性別による違いは生じないと考えてきた。だが調べてみると同じ職責・成果でも性別によって差があることがわかった。

評価者の無意識の偏見が反映されていることなど、差が生じる理由を細かく分析し、低い賃金を上げる形で2020年に男女の賃金平等を実現した。性別に限らず様々な不公平を解消するため10億ドルを費やす。

格差を是正した後もバイアスは無意識に広がる。米本社ではその後も年に一度、全従業員の賃金データを分析し、差があればその背景に何があるのかをグループの各法人に問い合わせ、問題があれば是正を求める。評価する管理職にはアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)のトレーニングを徹底する。上司と部下が2人で話し合う「1on1」を毎週実施し評価などについて擦り合わせるとともに、職務ごとに一般的な賃金データを社内に開示し、誰でも見られるようにしている。

週に1度、部下と1on1ミーティングをするアメリカン・エキスプレス・インターナショナル保険事業部本部長の小沢純子さん㊧(東京都港区)

週に1度、部下と1on1ミーティングをするアメリカン・エキスプレス・インターナショナル保険事業部本部長の小沢純子さん㊧(東京都港区)

日本法人で人事を担当する森田義博副社長は「DE&Iを推進する上でトップのコミットメントと社員に対する情報開示は不可欠。優秀な人材を確保するためにこれ以上大切なことはあるだろうか」という。

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