新人にフォーカスしたランキングも

JAPAN HOT 100の中から、急上昇中の楽曲だけを抽出したヒットチャートが、「Heatseekers Songs」だ。「最近、ストリーミングの影響が強くなったことで新人がヒットを生み出しやすい環境が整ってきたので、より新人にフォーカスした指標を作ってみた」(高嶋氏)

「Heatseekers Songs」はJAPAN HOT 100の中から急上昇中の楽曲だけを抽出したヒットチャート。集計期間:2021年8月23日~8月29日

 「直近6カ月(26週)中、4カ月相当(17週)以上、HOT100の20位以内に入っていない」「HOT ALBUMSの10位以内に入っていない」などの条件があるため、8月第4週の大半がブレイク前の新人となっている(なお、大森元貴や幾田りらは、それぞれMrs.GREEN APPLEやYOASOBIとしてチャートインしているが、ソロとしては初チャートイン)。

ここでの1位も、女性YouTuberで、バーチャルYouTuber輝夜 月(かぐや るな)を演じているP丸様。と動画系アーティストとなっている。コロナ禍が一段落すれば、ライブで人気のアーティストも、UGCやHeatseekersで伸びてくる可能性もありそうだ。

3つめの「Artist 100」は「HOT 100」と「HOT ALBUMS」を総合したチャート。最近のヒットとして、CMや主題歌で話題となった1曲ではなく、アルバム単位でCDやダウンロードの売り上げが伸びるパターンも少なくない。この現象は、松任谷由実、大滝詠一、宮本浩次、THE BLUE HEARTS、QUEENなど中高年に人気の大御所やレジェンド系のアーティストによく見られる。そんな動きを可視化しようとしている。HOT100やUGCチャート、Heatseekers Songsチャートなどは総じて若い世代に人気のヒットが見えやすいので、このArtist 100が中高年層がチェックすべきチャートになるか注目したいところだ。

2010年代、一部のアイドルグループがCDシングルの上位を独占して、ヒットチャートからヒット曲が見えづらくなった時期もあった。だが、現在は、複数の指標を総合することでヒット曲を見いだせるようになった。ここ1、2年は、モノマネ芸人による楽曲ネタも、懐メロ中心から、YOASOBIやあいみょん、Adoなど最新のヒット曲が増えてきたことから、大衆的なヒット曲は確実に復活してきている。より多くの信頼できるヒットチャートが増えることで、ヒット市場がより活性化することも期待される。

臼井孝
1968年生まれ。理系人生から急転し、音楽マーケッターとして音楽市場分析のほか、各媒体でのヒット解説、ラジオ出演、配信サイトの選曲(プレイリスト【おとラボ】)を手がける。音楽を“聴く/聴かない”“買う/買わない”の境界を読み解くのが趣味。著書に「記録と記憶で読み解くJ-POPヒット列伝」(いそっぷ社)。渋谷のラジオにてレギュラー番組『渋谷のザ・ベストテン』放送中。 Twitter @t2umusic
エンタメ!連載記事一覧