
暑さが続くと、冷たい麺料理に食欲増進を助けてもらう機会が増える。そうめんは薬味だけでささっと手軽にいけても、冷やし中華はチャーシューや錦糸卵、きゅうり、紅生姜(ショウガ)と彩りよく具材を用意しないとおいしくならない気がして、家で作るのがついおっくうになりがちだ。しかし、シンプルな具でも冷やし中華の気分が十分味わえる商品がある。今回はロングセラーな冷やし中華スープを使用した福岡と福島の商品を取り寄せた。
福岡「一番食品」 レモンスープは50年以上前から
冷やし中華のスープで1968年からロングセラーを続けている食品メーカーがある。福岡県飯塚市にある一番食品だ。業務用にスープやソース、ドレッシングなどの調味料を開発する同社では、製麺業者を中心に「レモン入 冷し中華スープ」を50年以上販売している。20年前からは地元の製麺業者の麺とセットにして、自社でもオンラインで冷やし中華を販売している。

同社の冷やし中華のスープが全国の製麺業者から根強く支持される理由は、昔ながらの変わらない味にある。酢としょうゆ、砂糖、ごま油の基本調味料を合わせれば、それなりの味は作れても、同社のような「ザ・冷やし中華」的な味にはなかなか至らない。その違いは商品名にもなっている、レモンにカギがある。
「レモン果汁を使ったのは、美容や健康に関心を持つ層へ訴求するためだったようです。当時としてはめずらしく、ビタミンC入りの冷やし中華スープとして販売されたのですが、同じビタミンCを多く含むレモンのほうがよいのではないかということで改良され、今の形になったと聞いております」(通信販売課の平 真一郎さん)

早速、作ってみることに。具はシンプルに錦糸卵ときゅうりを用意した。スープをよく絡めながら食べると、爽やかな甘酸っぱさで、後味はすっきりクリア。ごま油の効かせ方にも品がある。麺は細く締まっていて、量もほどよいので、さらさらっとお茶漬け感覚で食べられた。レモンの他にも、醸造酢にはリンゴ酢が入っており、複数の酸味のバランスがよく、2種類の具でも物足りなさはまったく感じなかった。

味は懐かしいのに、どこか現代的な冷やし中華という食後感があったのは麺のせいかもしれない。量は90g。生麺でこの重さは、一食分にしては軽く感じたが、食べた後も胃が重くならないので、昼夜問わず、サクッと食べたいときにちょうどいい。
「昨年から、小麦の一部に福岡県産のラーメン専用小麦『ラー麦』を使用した麺に変えました。それまでは豚骨ラーメン用の麺だったので、コシがなかったのですが、いまはしっかりあります」(平さん)
同時に麺の賞味期限も製造日から90日と延び、まとめての取り寄せがしやすくなった。季節のはじめに、ひと夏分を取り寄せておくと重宝しそうだ。冷暗所の保存でOKなので、冷蔵庫の場所をとらないところもうれしい。

「冷やし中華は、年に何回か食べたい味ですよね。うちのスープに関しては、変わらないことがよさだと思っているので、これからもこの味で続けていきます」(平さん)
麺とセットの「冷し中華」は毎年5~8月いっぱいの発売。スープのみなら通年購入が可能で1パック60g入りが50個で1800円。同社では魚のフライやドレッシング、ポン酢としての利用もおすすめしている。