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検索性も重視したネーミング

開発には約3年かかった。モックアップ作りに1年で、設計と具現化に1年。最後の1年に、社内に家電の開発経験者が所属する専門チームが別にでき、開発体制が整った。安全面の確認のためにスキルを生かしてもらったという。

開発のポイントは「なるべく要素を減らすこと」だった。例えばプレートには縁に「やけどちゅうい」という文字を浮き彫りにしている。ユーザーの安全面に配慮するためだが、4文字の漢字で「火傷注意」などと書いてしまうと危険性ばかりが目につき、生活空間になじみにくい。理想は何も書かないことだが、エンジニアの意見を聞きながら1つずつ落とし所を見つけ、改良を重ねていったという。

白の色味も、どんな発色がいいか何度も検討。縁には「やけどちゅうい」の文字。書体はベースとなるものの先端を丸くしたオリジナル

Makuakeで得た気づきも少なくない。初めはプレートではなく「クッキングプレート」と呼ぼうとした。しかし新しい言葉を使うと検索性が低くなるため、Makuakeからは「ホットプレート」という言葉を使ったほうがいいと助言をもらった。常に新しいものを探しているMakuakeの顧客とのコミュニケーションの取り方の勉強にもなった。

「これまでのホットプレートの概念から外れて、温かいお皿『ホットディッシュ』という新たな定義をつくりたい」とエレコム商品開発部デザイン課デザイナー、鹿野峻氏は言う。

自炊や自宅での会食など、さまざまなシーンで使える。人気のフードデザイナーが考えたオリジナルレシピもエレコムのホームページで公開している
「HOT DISH」の一式 ※開発中(取材時)のため、実際の製品とは色などの仕様が異なる場合がある
レバー式スイッチで調理後も熱を維持 ※開発中(取材時)のため、実際の製品とは色などの仕様が異なる場合がある
焼きプレートの裏面。片手でも持てる(約800グラム) ※開発中(取材時)のため、実際の製品とは色などの仕様が異なる場合がある

(ライター 丹野加奈子、画像提供 エレコム)

[日経クロストレンド 2022年5月11日の記事を再構成]

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