期待される成果とプロセスが示される職務記述書

形式的にいえば、ジョブ型人事制度では、職務記述書(ジョブディスクリプション)が作成されます。

職務記述書とは、あなたに期待される職務について文章で明示したものです。その項目としては、期待される成果、期待される業務の進め方(プロセス)などの職務内容そのものに加え、職務を適切に進めていくための必須能力や、あると望ましい経験、資格なども明記されます。

職務記述書は特定の個人に対して作成されるのではなく、組織図を前提としたポストに対して作成されます。たとえば営業部長や総務課長というポストには個別の職務記述書が作成されることになります。その一方で、営業課員など複数の対象者がいる場合でも、職務が共通であれば、共通の職務記述書が作成されます。

あなたの会社がジョブ型人事を導入したなら、それぞれのポストに対して職務記述書が示されることになります。

そこであなたが最初にすべきことは、職務記述書を熟読し、その内容を踏まえて業務を進めることになります。

ただ、おそらく初めて職務記述書を見たとき、意外な内容に驚くかもしれません。

意外にふわっとした記述の職務記述書が多い理由

ある金融機関でジョブ型人事に移行した際、その内容をどう読めばよいかわからない、という相談が人事部によせられたことがあります。

その方は金融機関の支店長だったのですが、職務記述書にはこう書かれていました。

職務内容
期待成果:地域における顧客基盤強化 / 支店内マネジメントレベル維持・向上
期待業務:支店事業計画作成 / 同計画の浸透 / 支店人材の計画的育成 ……

「売り上げをあげるとか、利益を出すとか、そんな内容が全く書かれていないんですが、これが職務記述書なんでしょうか? これまでの人事制度だと、売り上げ目標や利益目標が常に書かれていたんですが……」

職務記述書の目的を「やるべき仕事が具体的に書かれているもの」とだけ理解してしまっていると、このような誤解が生じます。

実は、職務記述書の一番の目的は、そのポストに適した人材を選ぶ基準となることです。

そのポストについている人に対して「地域における顧客基盤強化」と「支店内マネジメントレベルを維持向上させる」ことを期待するのは当然ですが、そもそもそういう職務を効果的に推進できる人をそのポストに就けようとする判断基準なのです。

相談に来られた支店長が戸惑われたのは、職務記述書の内容がそのまま評価に使われると考えたための誤解でした。

実際の評価では、職務記述書の内容に沿った行動面での評価がされることもありますが、それに加えて売り上げや利益創出などが定量的に評価されることも一般的です。

職務記述書の内容と評価は別物、としてとらえておきましょう。

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