店頭でも好評だというこのトート、今季はどのようなコーディネートに合わせるのがおすすめなのだろうか。
「今なら旬のミリタリーウエアと合わせたいですね。トートに描かれたステンシルの雰囲気はミリタリーとの相性もバッチリです。落ち着いたトーンのカラーで合わせると、大人っぽくまとまりますよ」

ビジネス対応の高機能 デザインはミニマル
東京の代々木にある1197STORE(イチイチキューナナストアー)の店主、佐野賢太氏にも話を聞いた。佐野氏が薦めるのは、自身がデザイナーを務める「beruf baggage(ベルーフバゲージ)」のトートバッグ。鞄(かばん)の生産地として100年の歴史を持つ、兵庫県豊岡市の「豊岡鞄」ブランドとコラボした一品を紹介してくれた。
「豊岡鞄は日本最大の鞄の産地である兵庫県豊岡市発のブランドです。しっかりした設備と腕利きの職人を多く擁しており、品質の高さは申し分ありません。素材には強度に優れたコーデュラナイロンを使用しており、引き裂き強度や耐久性が高いのに軽量です。耐水性も備えているので急な雨でも安心です」

バッグは毎日使うアイテムだからこそ、生産背景や素材にこだわった一品は魅力的だ。店頭ではビジネス用に買い求める客が多く、スーツからジャケパンまで幅広いスタイルに合わせやすいデザインも好評のようだ。デザイン面で工夫したポイントはあるのだろうか。


「デザインのミニマルさにはこだわりました。具体的にはバッグの正面からポケットが見えないのがポイントです。使うことを考えても、ポケットは正面より背面にある方が出し入れしやすい。背面左右のポケットは頻繁に出し入れするスマートフォンやキーケース、タブレットなどの収納に便利ですね」
パソコンやガジェット類をまとめて収納できる内蔵パネルを備えるほか、メインの収納部分とサイドポケットの間に充電用コードを簡単に通せるようにするなど、便利な機能も盛りだくさんだ。美しいデザインと機能性を両立したトートバッグといえそうだ。


平日も休日も活躍 お値段以上の上品さ
「平日のジャケパンやセットアップ、さらには週末のおしゃれな装いにも対応できるのは、品よく見えるレザートートです。昨今はリュックが主流になっていますが、そのなかでもトートバッグの人気が根強いのは、汎用性が高いからでしょう」
そう話すのは、東京・新宿にある「417 EDIFICE(フォーワンセブン エディフィス) 新宿店」副店長の宮本賢治氏だ。日本のレザーブランドSEEKER(シーカー)のトートバッグを選んでくれた。

「このブランドの魅力は何といってもコストパフォーマンスのよさです。上品な見た目のレザートートが1万円台で購入できるのかと、驚かれるお客様が多いんです。まさに“高見えレザー”といえると思います。革本来の表情を引き出しているので、シボ感が出ている部分とスムースレザーのような部分があります。そのムラがある感じもまた味わい深いですね」
素材感に加えて、糸の色や手に持った時の全身のバランスなど細かい点にも注目してほしいと宮本氏は話す。
「ステッチの色でバッグの印象は大きく変わります。このバッグは生地と同色の糸を使っていてより上品であか抜けて見えますね。ヘルメットバッグやブリーフケースのデザインに似て、持ち手の幅がやや狭めかつコンパクトです。ボリュームのあるアウターやロングコートを羽織ったときの手元とのバランスもいいですね」


ベージュとブラックの2色があるが、宮本氏が薦めるのはベージュだ。より柔らかいニュアンスで、春っぽさを演出してくれる。
「ステンカラーコートやトレンチコート、春ニットなどきれい目なアイテムとは間違いなく合いますね。私が特におすすめしたいのはブリティッシュトラッドな装い。英国紳士がブリーフケースを持つような感覚で使うと、コーディネートの鮮度も上がりますよ」


文:FACY編集部 平野美紀子(https://facy.jp/)

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