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写真はイメージ(PIXTA)

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新型コロナウイルス禍からの経済活動の再開に伴い、企業の人材採用が戻りつつあります。人材エージェントのコンサルタントに2023年度の転職市場動向を聞きました。主要6業界・領域を2回に分けて解説します。前編は「金融」「コンサルタント」「IT(情報通信)・Web業界」の3つを取り上げます。

金融業界 大量採用続く、異業種・元社員も増加

金融業界の転職事情に詳しいKANAEアソシエイツの阪部哲也社長に聞きました。

KANAEアソシエイツの阪部哲也社長 大学卒業後、富士銀行(現みずほ銀行)やリクルートエイブリック(現リクルート)などを経て、2010年にKANAEアソシエイツを設立。金融業界に特化した人材紹介サービスを展開

KANAEアソシエイツの阪部哲也社長 大学卒業後、富士銀行(現みずほ銀行)やリクルートエイブリック(現リクルート)などを経て、2010年にKANAEアソシエイツを設立。金融業界に特化した人材紹介サービスを展開

――23年度の金融(銀行、証券、保険)転職市場をどのようにみていますか。

「中途採用数をみると、22年は21年比で約2倍になりました。例えば、3メガバンクだけで合計約500人、大手証券、大手保険などで約1000人を採っています。23年度は同数程度かさらに増やす可能性もあり、大量採用が続く見込みです。年齢は20、30代だけでなく、40、50代前半まで幅広く採用されています」

「金融機関が採用に積極的なのは50代後半のバブル世代が大量退職しているためです。また、21年の銀行法改正により可能な業務範囲が広がったことや事業のIT推進もあり、人手不足が顕著です」

――どのような職種が求められていますか。

「銀行、証券などでサステナブルビジネスやストラクチャードファイナンス(仕組み金融)を担当している人材、運用会社でオルタナティブ(代替)投資に関わっている人材、金融機関で監査・コンプライアンス(法令順守)に携わっている人材は争奪戦が激しくなっています。圧倒的な売り手市場であり、人材エージェントから100通以上のオファーメールを受け取る人もいます」

「UI/UXデザイナーやデジタルトランスフォーメーション(DX)、デジタルマーケティング、サイバーセキュリティ、ESG(環境・社会・企業統治)関連コンサルタントなどの採用も増えています。これらの職種は金融以外からの転職者が目立ちます。当社の実績をみると異業種から銀行へ転職した人の割合は、19年度は14%でしたが20年度は20%、21年度は27%に増加しました」

――選考方法に変化はありますか。

「選考期間が短くなりました。コロナ前は面接に2カ月間かかることもしばしばあり、応募から内定までは1カ月半から2カ月が平均でした。リモートワークやオンライン面接が一般化した現在は3、4回ほどの面接で、約1カ月から1カ月半で選考終了します。選考スピードが他社より劣ると内定辞退が起こるようになったことが特徴です」

「採用手法も多様化しています。退職した元社員を再び迎え入れるカムバック(アルムナイ)採用を導入する企業が増えました。ある銀行では転職者の3割が元行員です」

――40〜50代の採用も増やしているのでしょうか。

「メガバンクの40代の副部長が、他のメガバンクに部長職で迎えられた事例も出てきています。銀行は『新卒純血主義』へこだわりが薄れ、従来はあまり見られなかった外部からの抜てき人事も増えています。それだけ人手不足が深刻なのでしょう。またガバナンス整備が課題の企業では、経験豊富な40、50代のIR・コンプライアンス担当の採用が活発化しています」

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