Men's Fashion

「コロナ禍、顧客の高級志向が鮮明に」ブルガリCEO

時計

What is LUXURY?

2023.1.26

ババンCEOは「コロナ禍の間にお客様はもっと良いものが欲しい、ユニークな一点ものにお金を使いたい、という意欲を高めている」と語る

ラグジュアリーブランドの業界にとって、新型コロナウイルス禍の3年間は先端的なデジタル技術の導入が一段と進んだ期間になった。なかでもユニークかつ先駆的な活用法が目立ったのがイタリアの宝飾ブランドのブルガリだ。ブロックチェーン技術を使った代替不可能なデータ「非代替性トークン(NFT)」とつながる高級時計や、ICチップで生産履歴をたどれるバッグなど次々と新機軸を打ち出している。伝統的なラグジュアリーブランドとデジタル技術の融合で生み出される価値とは何か。それは唯一無二のモノ・サービスであり、「より付加価値が高いものを求める顧客に対応するため」には必要不可欠であるとジャン-クリストフ・ババン最高経営責任者(CEO)は断言する。




職人技とハイテクが融合

――ブルガリの高級時計「オクト フィニッシモ ウルトラ」は職人技とデジタル技術が結集したユニークな時計です。文字盤に刻印されたQRコードをスキャンすれば、NFTであるコンテンポラリーアートを鑑賞したり、ムーブメント(駆動部分)のバーチャルツアーを体験したりできます。超薄型ムーブメントの革新的な技術も話題ですが、職人技とハイテクの融合が生み出す価値についてどう考えていますか。

「言うまでもなく、ラグジュアリーウオッチの製造は人の手によるもの。職人技がなせるものです。ただ、今の時代はそこにちょっとだけマシンの要素を入れることで、製品の素晴らしさに磨きがかかります。オクト フィニッシモ ウルトラはモバイル端末でスキャンすると、デジタルアートや時計づくりの舞台裏の情報を得られます。また、再販売された場合は過去の所有履歴を追跡して真正証明ができるほか、メンテナンスの履歴を確認することもできます」