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欧米の先進IT企業を中心に経済学の知見をビジネスに生かそうという動きが広まっている。DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が高まる中、その動きはIT業界にとどまるものではない。経済学の社会実装というミッションを掲げて事業展開するエコノミクスデザイン(東京・新宿)の代表取締役、今井誠氏がその背景や具体的な実装例、活用に向けた経済学の学び方を解説する。

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2022年、歴史的な値上げラッシュ。ウクライナ侵攻やコロナによる様々な規制、急激な円安、天候不順など複雑な要因で原材料価格が高騰しました。その結果、価格の優等生と言われている「たまご」や「もやし」までも大幅な値上げとなりました。個人的には、「うまい棒」の1979年発売以来、初めての値上げは衝撃的でした。

値上げは、消費や企業業績への影響も大きいものです。企業が利潤を追求する中では、原材料価格高騰つまりコスト増は、同等の価格を販売価格に転嫁しないと収益が減ってしまいます。一方で、顧客離れや消費抑制につながると考え、原材料価格の増加分をそのまま価格転嫁できない企業も少なくありません。

こうした事情から、多くの企業では消費の影響を考え最終的な値上げ額を決定することになります。その検討工程では、顧客離れしない価格を意識し「勘」や「経験」に頼ることもしばしばあるようです。

しかし、この数十年遡っても経験のない規模で起こっている現在の原材料価格高騰に対して、「経験」などから導き出す値上げでは、現状の消費者の行動と心情を測ることはできません。また、今後原材料価格が大幅に下落する可能性はかなり低いことを考えると、一時的にしのげればよい、という考え方も危険です。こうした中で、企業はどうやって価格を決定していったらよいのでしょう? そして、いくらまでは消費者は許容できるのでしょうか?

これからの値上げ、そしてサステナブルな価格戦略における経済学の活用について、お話ししたいと思います。

写真はイメージ=PIXTA

写真はイメージ=PIXTA

アンケートで課題を可視化する

今回取り上げるのは、「アンケート」などの調査による「プライシング」に関連する学知の実践です。

前提として、言うまでもありませんが、消費者は一般的に同量・同品質の商品であれば、少しでも安く買いたいと思っています。しかし、現状を考えるとある程度の値上げはしょうがないと思っている消費者も多いかと思います。

では、「値上げ」と「購入意思の低下」はどのような関係にあるのでしょうか? ここでは、消費者が各商品の値上げについて、どう感じているのかを「アンケート」を活用して浮き彫りしていきます。

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