加山さんに着てもらいたくて… できたブランドも?

ちなみに60~70年代の映画ファッションにも詳しい、元『フェアファクス』のディレクターでアイビースタイルを紹介するユーチューバーとして活躍する慶伊道彦氏によると、「若大将の格好はアイビーというより青春スタイルですよね。もしVANが衣装提供していたとしてもまだ試行錯誤の時期でしたからね。青大将の着こなしはエクストリームアイビーかと。映画公開当時は60年代ですから、まだアイビーというものが日本人にはよくわかっていなかった。だから見聞きしたアメリカンスタイルです。アイビーファッションが一般人、芸能人も含めて浸透するのは65年からですから。でも田中邦衛氏のキャラと相まって青大将はジャイビーっぽいですよね」とのことである。

ファッション業界にも永遠の若大将こと加山雄三氏の熱烈なファンは多い。有名なのが、『ジョイマークデザイン』の下山好誼氏だ。下山氏といえば、80年代初頭に大ブームになったロゴ入りトレーナー『ボートハウス』の生みの親。青山学院大学の側にあったわずか7坪の小さなショップに全国からロゴ入りトレーナーを買い求めにやってくる若者たちで大行列ができて社会現象にもなった。筆者も高校生の頃に、下山氏がプロデュースしていた『サンデービーチ』の正ちゃん帽にマリンブルーのトレーナーを着て白いチノパンに『トップサイダー』のデッキシューズを履いていました。

当時はプレッピーブームも相まってボートハウスのロゴ入りトレーナーがご本人の意思とは別に社会現象にまでなってしまったが、VANと加山雄三氏をこよなく愛する下山氏は自身の提案するアイビースタイルを「ブルートラディショナル」と命名して、『ボートハウス』も大好きな加山雄三氏に着てもらいたくて始めたブランドなのだそうだ。大ブームになったトレーナーにも使われているブランドのロゴマークも、加山氏が大好きなヨットのロープを使ったデザインなのだ。

事実上の引退宣言をしても芸能界から音楽業界ファッション業界まで、老若男女あらゆる世代から「永遠の若大将」と呼ばれて愛される加山雄三氏、85才。筆者もそんなカッコいい後期高齢者になりたいものだ。「ぼかぁ、幸せだなぁ」

いであつし
1961年静岡生まれ。コピーライターとしてパルコ、西武などの広告を手掛ける。雑誌「ポパイ」にエディターとして参加。大のアメカジ通として知られライター、コラムニストとしてメンズファッション誌、TV誌、新聞などで執筆。「ビギン」、「MEN’S EX」、JR東海道新幹線グリーン車内誌「ひととき」で連載コラムを持つ。

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