いけ好かないやつ 「青大将」もスゴくおしゃれ 

また、『若大将シリーズ』では、当時の60年代アイビーファッションも見られる。例えば田沼雄一の格好。若大将はバンカラ学生なので詰め襟の学生服を着ていることも多いが、当時のはやりの「みゆき族」のような短めのコッパン(コットンパンツ)に半袖のストライプのBD(ボタンダウン)シャツの袖をまくった格好や、冬のキャメルのダッフルコートスタイル、バンド合戦での衣装は白いBDシャツに赤いニットベストに細身のグレーのウールパンツ、スーツやブレザースタイルは、3つボタン上2つ掛けのボックスシルエットでフックベントのアイビーモデルに細いナロータイなどなど。今見ても十分アイビーファッションの着こなしの参考になる。

「若大将シリーズ」では1960年代当時のアイビールックが登場。田中邦衛さん演じる「青大将」とともに、さっそうとしたファッションが若い世代に大きな影響を与えた

ちなみに、当時『若大将シリーズ』をリアルタイムで映画館で見ていた昭和のVAN(ヴァンヂャケット)世代のアイビーオジサンたちの間では、加山雄三氏が劇中で着ているアイビーファッションは当時できたばかりの『VAN』が衣装協力していると、まことしやかに言われている。真相を探るべく、NIKKEI STYLE Men's Fashionの編集長に『石津事務所』の石津祥介氏に確認をとってもらったところ、VANが『若大将シリーズ』に衣装を提供していたかは定かではないそうです。全国のVAN世代の昭和のアイビーオジサンたち、残念ッ。

むしろ今どきのアイビーファッション的にはコンサバな若大将よりも、田中邦衛氏が演じていた、ライバルのいけ好かないボンボンの石山新次郎こと「青大将」の方が断然おしゃれである。例えば、記念すべき第1作の『大学の若大将』で初登場したシーンでの格好。ポークパイハット(トップが平らで低く、カールした狭いつばのある帽子。ミートパイの見た目にたとえられた)を斜めにかぶって、ブルーのシャツに金ボタンのブレザーで、短めの丈ではいた細身のエンジ色のトラウザーズに黒いローファー。「ボクのお父さん、社長なんだ~」と言って足を組んだ時にちらりとのぞくソックスの色はマスタードイエロー。青大将のなんともエッジの効いたアイビーファッションは、まるで映画『真夏の夜のジャズ』に出てくる黒人のジャズマンのアイビールックの着こなし「ジャイビー」みたいである。

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加山さんに着てもらいたくて… できたブランドも?