
ライフスタイルの変化に合わせて、市場のスーツがどんどん多様化してきた今、実際に“買い”の1着はどれなのか? 王道のクラシックスーツから今どき高機能ビジネススーツ、休日にも使えるリラックススーツ、コスパに優れたスーツ……。本特集では、事前に各セレクトショップや百貨店に2021年秋冬のイチオシの1着をアンケート。その結果を元に一堂に集めたスーツたちを、ファッション業界のスーツ識者たちとじっくり見ながら大品評会。ジャンル別に、今、買うべきスーツ大賞を選出した。

ジャパンスーツ大賞 日本のモノづくりの力を知る
進化著しい日本のスーツだが、アワードではより強く趣味性を押し出したモデルが並ぶ結果に。上記のメンバーで、それらの魅力を検証してみた。
「このスーツを仕立てられるのは限られた職人だけ」ー津田さん
■RING JACKET MEISTER 206(リングヂャケットマイスター206)
「弊社最上仕様の既製スーツで随所にビスポーク技を盛り込んだ趣味嗜好性の高い一着。これを縫えるのは弊社職人でも限られた職人だけ。特に一枚の生地を丹念なアイロン技で襟に形成する殺し襟の技は圧巻。柄までそろいます」(津田さん)。31万9000円(リングヂャケットマイスター206 青山店)

「テーラーと工房の幸福なマリアージュ」ー山浦さん
■LID TAILOR(リッドテーラー)
「仮縫い付きのスタイルドビスポークで仕立てられ、リッドテーラー根本氏の型紙を当プログラム用に引き直し、若い職人がそろう工房が繊細な手仕事で縫製。パンツもラップシームやサイドシームを斜めに曲げるなど、相当こだわっています」(山浦さん)。55万円〜〈オーダー価格〉(伊勢丹新宿店)

橋本 かつてカチッと制服然としたものが多かった日本のスーツですが、アワードに選出されたスーツからはどれもいい意味で“味”を感じます。
篠塚 リングヂャケットのこのスーツも、既製品とは思えない色気と雰囲気がありますよね。
津田 このスーツは手縫い箇所が多く、殺し襟をはじめビスポークの手法を多用しているからでしょうね。
山浦 ここまで見事な殺し襟って既製じゃなかなか見かけません。確かに見栄えと着心地に直結している。
津田 既製じゃないから当然ですが、三越伊勢丹展開のリッドテーラーも、非常に趣味性が高い一着ですね。とくにパンツのパターンと縫製にうなりました。どこで縫ってるんですか?
山浦 東京・練馬のソーイング商会という工房です。腕のいい縫い手が高齢化している中、そこは若い職人が多く在籍。リッドテーラーの根本氏の型紙と繊細な手仕事が相まって最高の仕立て上がりと自負してます。


THE NIKKEI MAGAZINE 4月誕生!
Men's Fashionはこの4月、あらゆるビジネスパーソンに上質なライフスタイルを提案するメディア「THE NIKKEI MAGAZINE」に生まれ変わります。限定イベントなどを提供する会員組織「THE NIKKEI MAGAZINE CLUB」も発足します。先行登録はこちら