価値観変えた若者「嘘ない時計求める」 ロンジンCEO時計ブームを語る(5) ロンジン マティアス・ブレシャンCEO

2022/8/26
「ロンジンは190年にわたって時計づくりの技術を磨いてきた。時計ブームといわれるが、消費者が求めるのは歴史に裏付けられた『本物』だ。本物が持つ物語に若い世代が共感している」と話すロンジンのマティアス・ブレシャンCEO(東京都中央区の「ロンジン ブティック銀座」)

高級腕時計ブランドのロンジンが創業190年を迎えた。1832年にスイスで産声を上げ、乗馬をはじめとするスポーツの計時技術をいち早く確立。チャールズ・リンドバーグら飛行士や探検家のための計器類も開発し、世界初の腕時計式クロノグラフも生み出した。こうした史実に裏付けられた開発ストーリーが「今、若い世代をもひきつけている」とマティアス・ブレシャン最高経営責任者(CEO)は誇らしげに語る。節目の年を記念して投入した新作も、歴史的な名器に最新技術を搭載した復刻モデルだ。懐古趣味に訴えるのではなく、あらゆる年齢層の心を動かす「本物感」を大切にした現代性も内包する自信作なのだという。




22年は中国市場とウクライナ情勢に注意

――新型コロナウイルス禍の出口はいまだに見えませんが、時計の人気は衰えぬままです。過去に例がないほどのブームと言ってもよいのでは。

「全く同感です。私は2020年7月、コロナの感染拡大が市場に影を落とす大変厳しい時期にCEOに就任しました。ところが8月には状況が一変し、売り上げが急成長し始め、20年は後半の巻き返しが効いてまずまずの着地となりました。21年は最初の8カ月間に記録的な伸びを示し、最後の4カ月こそ中国市場の停滞が響きましたが、結局は当社が記録的な売り上げを達成した18~19年に匹敵する業績を残せました。22年は中国市場とウクライナ情勢に注意が必要ですが、今のところ順調です。もし中国が平時の状態に戻れば、すさまじい売れ行きを記録するはずです」

「TPOを考えるとダークスーツとライトカラーのシャツが定番。スタイルはある程度制限されるから、時計がキーポイントになる」と語るブレシャンCEO。夏場はほぼノータイ。ゼニアのスーツを粋に着こなす

――時計に強い関心が集まる理由は何でしょう。

「明確なのはリベンジ消費の存在です。コロナ禍で旅行や外食、コンサートなどになかなか行けない。その反動としての消費行動ですね。自分や家族のために、何か特別なものや楽しいものを欲しがっているのです。今後は中国のリベンジ消費がどっと表面化してくるでしょう」

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コロナ禍のリベンジ消費 時計が自己表現ツールに