「スマートカップ」タイプのコンビーフも登場した

■レンジで加熱できたり、賞味期限が長くなったり

新たに登場したコンビーフ缶は2種類。プラスチックの多層構造でできた「スマートカップ」と、アルミ箔に樹脂シートを貼り合わせた「アルミック缶(アルミニウム箔容器)」である。金属を使っていないスマートカップを果たして“缶”と呼べるかは議論が分かれるところだろうが、僕は親しみを込めて「進化形缶詰」と呼んでいる。フタをはがすとそのまま電子レンジで温められるのが特徴で、明治屋(東京・中央)のコンビーフシリーズなどで採用されている。

一方のアルミック缶は金属を使っているので、電子レンジで加熱することはできない。ただし、賞味期間(3年6カ月)は、スマートカップよりも半年長い。こちらは国分グループ本社(東京・中央)のコンビーフシリーズや、川商フーズ(東京・大手町)の「ノザキのコンビーフ」シリーズなどが採用している。

2種類のタイプに共通する点は、フタがフィルム状になったこと。まるでヨーグルトの容器のように開けられるので、けがの心配もない。

すっかりおなじみになった丸形の缶に入ったコンビーフ

丸形の缶(丸缶)に入ったコンビーフも今ではメジャーになった。イージーオープン式で開けやすい丸缶だが、当初は販売面で苦戦したそうだ。川商フーズは、1988年にいち早く丸缶でコンビーフを出したが、市場の反応はよろしくなかったという。消費者にアンケートを取ってみると「台形じゃないとコンビーフらしくない」という意見が多かったそうだ。

丸缶コンビーフが本格的に普及したのは2010年代の半ばから。グルメ缶詰と呼ばれるジャンルのコンビーフや、地方のブランド牛を使ったコンビーフで使われるようになってからのことだった。我々はコンビーフに対して、かなり保守的だったのであります。

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隙間無く肉詰めるために缶の形状が変化