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アップルの「ニュートン」という商品をご存じでしょうか? のちのiPhoneやiPadにもつながる革新的な製品でありながら、販売不振のため開発中止されてしまった、アップルの「失敗」製品です。ニュートンはなぜ「失敗」してしまったのか? そしてニュートンの「失敗」から得られる教訓とは? 発売直後に重版がかかった『世界「失敗」製品図鑑』(日経BP)からニュートンについての章を、担当編集者が一部抜粋、編集して紹介します。

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CEO肝いりの世界初のPDA

ニュートン(Newton)は、スティーブ・ジョブズをアップルから追い出した当時の最高経営責任者(CEO)、ジョン・スカリーが構想した商品です。

1990年代初頭、パソコン専業メーカーだったアップルでしたが、野心的なスカリーは、パソコン市場だけに限定せず家電業界に参入できないか、という構想を持っていました。アップルのヒットPC「マッキントッシュ」を手軽に持ち運べるマルチメディア家電にできれば、一気に市場を支配できる……スカリーはそのような青写真を描いて、新製品の開発を進めていたのです。

紆余(うよ)曲折を経て、92年5月、スカリーは「来年初めには新世代の情報家電機器、ニュートンを発売する」と宣言します。スカリーはその宣言の中で、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント=個人用携帯情報端末)という新たな造語を公開するとともに、この情報家電という領域でやがて3兆ドルという巨大市場ができることを予言します。

この宣言は、業界に大きな影響を与えました。「現在のパソコン市場の10倍の新市場を作る可能性がある」(「サンフランシスコ・クロニクル」紙)と書かれたように、スカリーの情報家電構想は、多くの人に新しい市場の到来を予感させるものだったのです。

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