書店員がおすすめ 年末年始に読みたいビジネス書10冊

八重洲ブックセンター本店の川原敏治さんのおすすめは『パーパス経営』と『習慣超大全』

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回はいつもと趣向を変えて、定点観測している書店のビジネス書担当者に年末年始に読んでおきたいビジネス・経済書を推薦してもらった。対象にしたのは2021年刊行の本。今年の売れ筋が多く並んでいるが、本連載では紹介できなかった本もある。新型コロナウイルスの感染状況は落ち着いてはいるが、オミクロン株への不安も大きい。まとまった休みを巣ごもりで過ごすなら、読み逃していた本を読む時間に充てるのもよさそうだ。

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経営も個人の行動も見直し機運

「会社の経営にしろ個人の行動にしろ、何か変えていこう、見直していこうという動きにヒントになる本が多かった」。八重洲ブックセンター本店でビジネス書を担当する川原敏治さんは21年のビジネス書の傾向をこんなふうにまとめる。そんな視点から選んでくれたのが、名和高司『パーパス経営』(東洋経済新報社)とBJ・フォッグ『習慣超大全』(須川綾子訳、ダイヤモンド社)の2冊だ。

『パーパス経営』は経営戦略のプロ中のプロともいえる大手コンサルティングファーム、マッキンゼー出身の経営学者が、21世紀の価値創造の基軸は「ヒト」であり、「その源泉は自分のための欲望ではなく、他者にとって価値のあることをしたいという信念、すなわち志(こころざし=パーパス)だ」と説く。

資本主義の先の姿を、志を基軸にした「志本主義(パーパシズム)」と呼び、志本経営の基本理念から始まって、具体的な企業の先進事例を概観、実践する上での課題まで論じたあと、志本経営を主軸にした日本再生の道を提言していく。ウィズコロナ、ポストコロナの状況を切り開くヒント満載の経営書だ。本連載でも6月にパーパス基軸の経営提唱 ニューノーマル下の戦略とはの記事で紹介した。

一方、個人の行動の指針になるのが『習慣超大全』だ。米スタンフォード大学で行動デザイン研究所を創設した行動科学者が著者で、「スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法」との副題がつく。「変化は簡単に起こせる(しかも楽しい)」と題するイントロダクションから始まる本書は「タイニー・ハビット」というメソッドを提唱する。

「トイレを出たら腕立て伏せを2回する」「朝起きて床に足をつけたら『今日は素晴らしい日になる』と声に出していう」といった小さな行動から始めて習慣を定着させるメソッドだ。行動のメカニズムから始まり、習慣を身に付けるためのモーチベションや能力の調整方法、小さな習慣を大きく育てる方法などが簡単に始めやすいエクササイズなどをふんだんに盛り込みながら語られていく。

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