会社のガバナンスから日本を考える 企業弁護士の視点八重洲ブックセンター本店

1階入り口すぐのメインの平台に2列並べて展示する(八重洲ブックセンター本店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測している八重洲ブックセンター本店だ。先ごろ周辺再開発に伴って2023年3月に閉店することを発表した。報道を聞いて訪れる客がにわかに増えている様子で、ビジネス書も含め全体的な売れゆきは上向いているようだ。そんな中、書店員が注目するのは、新聞などに折々に発表した時事エッセーを一冊にまとめた企業弁護士の本だった。

コーポレートガバナンスは統治の重要な一環

その本は牛島信『日本の生き残る道』(幻冬舎)。牛島氏はコーポレートガバナンスやM&A(合併・買収)などの案件で定評のある弁護士として名高い。その一方で小説やエッセーでも多数の著作を発表しており、この書店では人気著者の1人だという。本書は50年続いた朝日新聞の名物コラム「経済気象台」に14年から月1回、7年半にわたって書いたものを中心に、ここ7~8年に発表したエッセーをまとめたものだ。

タイトルは大上段すぎるように思えるが、副題には「企業統治が我が国を救う」とあり、主としてコーポレートガバナンスをめぐるエッセーだとわかる。「そもそも、コーポレートガバナンスとは国のガバナンス、すなわち統治の重要な一環であると考えているのだ」という思いが、振りかぶったタイトルへとつながっている。どうすれば失われた30年から日本をよみがえらせることができるか。それが今の著者の関心であり、「コーポレートガバナンスを通じて復活させるしかない」とまで言い切る。

大半が新聞コラムのため1ページ半ほどの短文が100編近く連なる。それらを「企業にとってのガバナンス」「働く人にとってのガバナンス」「投資家を呼び込むガバナンス」「東芝と我が国のガバナンス」の4つの章に分けて、章ごとにほぼ時系列に並べている。これに付録として、日々の読書からの思索や身近な出来事や政治をめぐってつづられたサイト連載のエッセーが付く。

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