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特設の平台全面に平積みして展示。上部に面陳列で本の中で取り上げた名著の数々を併せて展示する(青山ブックセンター本店)

特設の平台全面に平積みして展示。上部に面陳列で本の中で取り上げた名著の数々を併せて展示する(青山ブックセンター本店)

本はリスキリングの手がかりになる。NIKKEIリスキリングでは、ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチし、本探し・本選びの材料を提供していく。今回は2〜3カ月に1度訪れている準定点観測書店の青山ブックセンター本店だ。都心のほかのビジネスエリアに比べると、渋谷・青山周辺はビジネスパーソンの人出の回復が遅く感じられるという。売り上げは回復基調ではあるが、ビジネス書はまだ途上との印象だ。そんな中、書店員が注目するのは、連続起業家の孫泰蔵氏が「なぜ学校の勉強はつまらないのだろう?」という問いから始まる思索の冒険を記録した、教育と社会を考える一冊だった。

なぜ学校の勉強はつまらない?

その本は孫泰蔵『冒険の書』(日経BP)。副題には「AI時代のアンラーニング」とあり、高台の1本の大樹の傍らから、1人の少女が広がる町並みを見下ろすイラストが表紙いっぱいに広がる。帯には「君が気づけば、世界は変わる。」の言葉。一見、青春小説かと見まがうような造りだ。

だが、ページを開くと、次から次へと「問い」が連なる。「なぜ学校の勉強はつまらないのだろう?」「もし何も制約がなかったなら、どんなふうに学べたらいいのか?」「これからの時代を生き抜くために何を身につけるべきか?」……。本書はこうした素朴な疑問を起点に次々に問いを生み出しながら、学び、教育、社会、未来といったことを根源から見つめ直していく。

疑問の答えを求める旅の途上に次々と先人たちが現れる。17世紀のボヘミアの歴史学者で近代教育学の父と呼ばれるコメニウス、『リヴァイアサン』を著した英国の哲学者、ホッブズ、『監獄の誕生』のミシェル・フーコー、オーストリアの哲学者、イリイチ……。

古典ともいえる彼らの思索を自らの言葉に引き写しながら疑問の答えを探り、さらなる問いへと発展させて探索の旅を深めていく。「はじめに」に「結論よりも、僕がどんな問いを立てたのか、どんな探究をしたのか、というプロセスそのものを詳しく書くことを意識しました」とある。思想の巨人たちとの内なる対話を足がかりに自らの疑問を解き明かしていくのが本書の方法論だ。著者の思索の冒険を楽しみながら、学ぶことを含めた自らの生き方を自分の言葉で考え直してみるのがこの本にふさわしい読み方といえそうだ。

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