どうしてテーマのネタが尽きないのか

「ムー」には謎が多い。たとえば、取り上げるテーマもそうだ。毎号、広い意味での超常現象を題材に据えている。UFOや古代文明、妖怪・精霊、神話・怪異譚(たん)、地底人・宇宙人など、切り口は少なくないが、42年もの間、この領域に絞って、刊行を続けてこられたこと自体が不思議ともいえる。率直に言ってネタが尽きることはないのか。ストレートな疑問を三上編集長にぶつけてみたところ、返ってきた答は「もう、とっくに尽きている」という、意外すぎる言葉だった。

「ネタはない。とっくに尽きている。だから、使い回し。でも、そうは言っても、テーマ自体はUFOにしろ、超常現象にしろ、いろいろとあるわけだから、材料次第では見せ方を変えられる。日々、新たな発見や研究成果も得られているので、鮮度を上げて仕立て直すことは可能だ」

「ムー」2021年9~11月号の表紙

実際のところ、看板テーマのUFOは直近では21年9月号の総力特集で取り扱っているが、20年5月号には「レンデルシャムUFO事件と幻の島ハイブラジル」として、19年11月号でも「ロズウェルUFO事件 最後の死角」と題して巻頭で取り上げている。しかし、21年9月号の場合、米国政府がUFOの実在を認めたとも受け取れる発表があり、そのニュースを受けた格好で「UFOとUAP アメリカ軍の機密情報を公開!!」と、タイムリーに仕立て直している。

「近年は科学分野での新発見や研究成果が相次いでいて、特集テーマに生かしやすい」。三上編集長は世界の研究者が日々、発表している最新の知見への目配りが欠かせないと語る。テーマに使えそうな論文を求めて、内外の論文データベースをウオッチしているという。「ムー」で使えそうな論文は必ずしもメジャーな論文媒体に載るとは限らないので、丹念にフォローしていく必要がある。各分野の研究者から寄せられる「面白い発表があったよ」といった報告も新たな視点の研究成果を掘り起こすきっかけになっているそうだ。

ただし、サイエンス雑誌ではないので、「ムー」流にひねる編集テクニックは欠かせない。たとえば、21年8月号では「ウイルス進化論のグレートリセット大予言」を総力特集に選んで、新型コロナウイルスが加速させたウイルス研究の成果を取り込んだ。20年4月号は「量子コンピューターと黙示録大預言」を掲げ、意外な組み合わせを試した。

もっとも、近ごろは先端的な論文の中身が常識を超えてくるところがあり、そのまま題材になるケースも。たとえば、21年4月号の総力特集テーマは「最先端科学 宇宙に時間は存在しない!!」だった。一見、奇想天外な見出しにも見えるが、実はまっとうな研究分野であり、ホットな論点でもある。

取り上げるテーマのバランスには手を抜かない。選択肢が限られているだけに、ある程度の期間を空けたり、見出しの切り口を変化させたりと、「またUFOか」と飽きさせない心配りを施している。20年分をざっと並べてみても、脳科学、地球空洞崩壊、量子コンピューター、UFO、アトランティス大陸、未来予言、神道・仏教、ピラミッド、第3次世界大戦などと散らしてあり、重複は見られない。

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