一枚肉を焼いてから刻むのが米ハーレム風
「DAPS」には、ニューヨークで人気のコメ料理チキン・オーバー・ライスもメニューに並び、こちらも豪快な「肉料理」。マリネした鶏肉を鉄板で焼きターメリックライスにのせた屋台料理だ。

「ダウンタウンでは、細かく引きさいた肉を使う店が多かったけれど、自分が住んでいたハーレムでは一枚肉を焼いてから小さく刻んだものを使っていた。この店でも同じスタイルで提供しています。うま味が閉じ込められて、一枚肉を使った方がおいしいでしょう。こうすると、ハーレムで食べていたのと同じ味になるんです」(宮本さん)。肉にかけるチリソースとホワイトソースは手作り。テークアウト用容器に盛られた料理からは、刺激たっぷりのスパイシーなチリソースの香りが立ち上った。
「米国では、サンドイッチでもチキン・オーバー・ライスでも、みんな自分流にカスタマイズします。チョップド・チーズ・サンドイッチにはレタスとトマトが入るけれど、それを抜いてとオーダーする人もいるし、チキン・オーバー・ライスではチリソースを抜いてくれとか、ホワイトソース多めになどと、みんな自分の好みがはっきりしている。日本でも、どんどんカスタマイズしてほしい」と宮本さん。

実は、メニューのカスタマイズよりまず「自分流」を促されるのが、「DAPS」のイートインスペースだ。同店にはテーブルや椅子がなく、店内にはまるで一種の公園のように、階段状にレンガが積まれている。好きな場所で、好きなように食べてくださいというわけで、初めて店に入った客は戸惑うに違いない。
ところが、座る場所を決めてみると、不思議にほっこりと落ち着く。内装を手掛けたのは、ある有名建築事務所に勤める宮本さんの友人で、ニューヨークで出会ったという。「地域の人たちが集まって楽しむような場所にもなるとうれしい」とは同店代表の平井雄輝さん。料理はもちろん、米国流の自由な空気感まで楽しみたい店だ。
