
熱々の鉄板で、ジュージューと音をたてながら焼いたボリューム満点の肉の上にチーズをのせ、トロトロに溶けたところを、長さ20センチほどもある大ぶりのパンにざっくりと挟み込む。大きく口を開けてかぶりつけば、肉汁やチーズがあふれ、手も口の周りもべとべとになること必至。そんな豪快なアメリカンスタイルのサンドイッチが、人気を呼んでいる。
米国のサンドイッチは、日本の牛丼みたいなもの

東京・吉祥寺に昨年7月にオープンした「THE DAPS FAMOUS HOOD JOINT(ザ・ダップス・フェイマス・フッド・ジョイント)」(以下「DAPS」)は、米ニューヨーク・イーストハーレムの有名デリ「ハジース」で働いていた宮本佳和さんがコックを務める米国料理店だ。米国で「デリ」と言えば、サンドイッチや総菜を売るコーナーのあるコンビニエンスストアのような店。その「ハジース」の名物が、ひき肉とチーズを挟んだチョップド・チーズ・サンドイッチだった。ニューヨークで親しまれるご当地メニューで、同店が発祥の地と言われる。
「DAPS」の名物メニューも、もちろん「ハジース」仕込みのチョップド・チーズ・サンドイッチだ。開店以来、米国人やニューヨークに滞在歴のある日本人が「懐かしの味」を求めて訪れる。「米国のサンドイッチは、日本の牛丼みたいなもの。意気込んで食べるものではないけれど、食べたらめちゃくちゃおいしい」と宮本さん。牛丼同様具材はシンプル。だからこそ、「あれが食べたい」という名物料理になるのだろう。

チョップド・チーズ・サンドイッチの具材は、牛ひき肉、タマネギ、チーズにレタスとトマトだ。「DAPS」では、油を引かずに調理できるよう、脂多めのあらびき肉を使用している。パリっと焼いたパンに挟んだ肉は、約150グラムとボリュームたっぷり。溶けたチェダーチーズがからまった肉は、ゴロッとした食感で、軽食のイメージがあるサンドイッチというより「肉料理」の趣だ。
でも、レタスとトマトのさわやかな味わいが加わるため、思いのほか後味はさっぱり。客は20~30代の男性客が多いという。