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海外におけるキャリアや仕事事情をお届けする「海外便」。今回は、IT(情報技術)企業を中心に目まぐるしく発展する中国で、変化する出世コースとその厳しさについてお伝えします。

中国の就活生、日本の20倍

中国ではここ数年、就職戦線が厳しさを増している。中国教育部によると2021年の大学新卒者は昨年より35万人増え909万人となり過去最高を更新。22年にはその数が1千万人を突破すると予測されている。日本の就活生の数の20倍以上の規模だ。

増える新卒者の数に対して就職先の増加が追い付かず、コロナ禍の採用控えなども相まって、大学を出ても希望の職種に就けないという厳しい現実が待っている。それゆえ、就職に有利になるように大学を卒業後すぐには就職せず、大学院に進学して学歴に磨きをかけてから改めて、一流企業への就職を勝ち取るという学生が増えている。

10年余り北京で編集の仕事をしていた筆者の感覚では、かつての中国のエリート学生は海外の大学院に留学し、そのまま現地で就職するというイメージだった。しかし近年は、留学後に再び中国へ戻り、国内のIT大手に就職、というルートが新しい出世コースとして定着してきたようだ。

「新エリート」はどんな人たちなのか。香港の大学院で学び、中国の四大IT企業BATH(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)の一社に職を得た深圳市在住のデザイナー、文君さん(仮名、31歳)に話を聞いた。

中国の就職では院卒が有利 コスパが高いのは香港?

北京市出身の文君さんは09年、中国が「双一流」(世界一流大学・一流学科)に選出した42の重点大学のうちの1校に入学した。中国の大学は入学試験の結果によって専攻が決まるシステム。文君さんは哲学科に振り分けられたが、卒業後の就職を考えると、大学3年生の頃には大学院に進んで専攻を変えようと決意していた。

メンバーシップ型採用で、入社後に色々な部署で経験を積んでいく日本とは異なり、中国では即戦力を求められるジョブ型採用が一般的。それだけに大学の専攻と仕事のポジションは直結しており、大学で何を学びどのようなスキルを身に付けているかが、将来の昇進や給与アップにも影響する。

「哲学の教授になるなら別ですが、哲学科を卒業しても就職先を探すのはかなり難しい。少しでも就職に有利になるように大学院に進み、またその際に、専攻を変えるというケースは多い」と文君さん。実際、クラスメートの9割以上が大学院に進学したという。中国版ツイッター「微博(ウェイボ)」、対話アプリ「微信(ウィーチャット)」が勃興したこの頃、文君さんは次第に「新媒体(ニューメディア)」に興味を持ち、その分野に強い香港の大学院に入学した。

「香港では1年で修士号が取得できることもあり、欧米の院と比べてコストパフォーマンスが高いと感じました」

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