全体を俯瞰(ふかん)すると、ソフトウエア産業をはじめIT(情報技術)系の企業が6割を占めました。これらはスタートアップやベンチャーと呼ばれる企業が多いのですが、大手企業と違い、「上司によるパワハラ」などの強権的な文化がまだ薄く、ITを活用して生産性を高めることに秀でているからのようです。

残る4割は大手企業のグループ会社であるとか、地方でも顧客基盤が強固で収益が安定している「地元密着型」の企業が多く入る結果になりました。また、税務や知的財産管理などの知的専門職が多い企業も報酬が高く、労働条件が安定している格好です。

同業界の小規模企業への転職も一案

――ホワイト企業に転職したいと考える人は多いと思いますが、30〜40代になると結婚して家庭を持ったり、子供ができて子育てが必要になったりすることで、ブラックな職場を離れて転職したい人もいると思います。ホワイト企業に転職できるのはどんな人でしょうか。

これといったスキルやキャリアがないとホワイト企業への転職、さらに言えばキャリアアップとなる転職は基本的に不可能です。ホワイト企業への転職の1つの方法として、今勤めている会社と同業界の小規模の企業を見てはいかがでしょうか。特に、規模は小さくても、何かのニッチ(隙間)領域で圧倒的な強さを誇っている会社であれば、ホワイト企業である可能性は高くなります。なぜなら、こうした企業は顧客に指名買いされることが多く、価格交渉権を持つことができますから、それが利益となって社員に還元されやすいからです。その面では、「隠れホワイト企業」のような優良な中堅・中小ホワイト企業というのは選択肢になり得ると思います。

「いつの時代も評価されるのはスキルと実績」と話す

一方、スキルやキャリアを身に付けたいという場合は、今の会社の中で何かの目標を達成するとか、営業やマーケティング、PR、人事、財務など、どこの会社でも必要な汎用的なスキルを獲得するのが最初にやるべきことになります。ただ、社内の組織的な理由でそれがかなわない場合は、荒療治ではありますが、スタートアップやベンチャーに行き、荒波の中でそれらを総合的に磨き上げていくのも手です。スタートアップの多くは何もないところから事業や組織、経営基盤をつくり上げていかなければなりません。自分の専門範囲を超えて様々な仕事をしなければならないこともあると思いますが、自分から動いて主体的に経営者のように働けるようになると、その後いくらでもキャリアチェンジが可能になっていきます。

いつの時代も評価されるのはスキルと実績です。ホワイト企業の多くは求職者が押し寄せていることが多いですから、なおさらスキルと実績が必要になります。そのことを意識し、日ごろから「このスキルを身につけよう」「35歳までにこのプロジェクトでこの実績を達成しよう」といった主体的なキャリア戦略を描いていくとよいのではないでしょうか。

竹内健登(たけうち・けんと)
 東京大学工学部卒。デロイトトーマツグループで人材戦略コンサルタントなどを経て、2016年にAvalon Consultingを創業。新卒学生やその親向けに就活塾「ホワイトアカデミー」を運営し、これまで800人以上の就活をサポート。著書に『子どもを一流ホワイト企業に内定させる方法』(日経BP刊)。

(ライター 三河主門)