2022/12/1

日本にも生理の貧困はある。厚生労働省の調査(22年2月)では、新型コロナウイルス禍以降、生理用品の購入・入手に苦労した女性は8.1%いた。20代以下に限ると12%を超えた。

学校のトイレに生理用品を置くなどの対応が広がっているが、消費税率は10%であり、軽減税率が適用されていない。生理は女性が生きているだけで毎月発生することを考えると、関連用品は軽減税率の対象にすべきではないか。

それには社会の理解をさらに進めることが欠かせない。最近、実際に生理用品を手に取りながら生理について学ぶ男子校の生徒たちがいることを報道で知り、心のなかでエールを送った。身近な女性を思いやれるようになってほしい。

10代ばかりではない。ヤフーは執行役員以上の幹部に女性の健康の基礎知識や対処法に関する検定の受検を義務付けた。人材の多様性を確保するため、女性特有の体調の悩みに幹部が正しく対応できるようにするという。生理をタブーから解放するため、こうした地道な取り組みを積み重ねていきたい。

スプツニ子!
アーティスト、株式会社Cradle代表取締役社長。インペリアル・カレッジ・ロンドン数学科、情報工学科を卒業後、英国王立芸術学院デザイン・インタラクションズ専攻修士課程修了。テクノロジーによって変化していく人間の在り方や社会を反映した映像インスタレーション作品を制作。2013年マサチューセッツ工科大学(MIT) メディアラボ助教に就任。その後、東京大学大学院特任准教授を経て、19年から東京芸術大学デザイン科准教授。https://cradle.care/

[日本経済新聞朝刊2022年11月21日付]