辛口に力を入れるハンガリー

「カルピヌス トカイ ハールシュレヴェリュ ドライ 2018」

ハンガリーは、スロバキアとウクライナとの国境に近いトカイ地方の貴腐ブドウから造られる甘口ワインが昔から有名だ。しかし、甘口ワインの需要が世界的に減っているため、近年は辛口ワインの生産にも力を入れている。

おすすめは「カルピヌス トカイ ハールシュレヴェリュ ドライ 2018」(参考小売価格2178円)。ハールシュレヴェリュはトカイ地方の主要地場品種で、貴腐ワインの醸造にも使われている。グラスに顔を近づけると、モモや洋ナシ、リンゴ、グレープフルーツ、レモン、白い花、レモングラスなど様々な香りがギュッとつまったような華やかな香りが、グラスからあふれ出てくる。酸味も十分で、余韻も長い。

「ムルヴァ&スタンコ フランコフカ・モドラ 2016」

スロバキアも紀元前からのワイン造りの歴史を持ち、そのワインは中世ヨーロッパを支配したハプスブルク家にも献上されていたという。おすすめはムルヴァ&スタンコ・ワイナリーの赤ワイン「ムルヴァ&スタンコ フランコフカ・モドラ 2016」(参考小売価格3960円)。中東部ヨーロッパで幅広く栽培されている黒ブドウ品種のフランコフカ・モドラから造られたこのワインは、果実の凝縮感が印象的なフルボディーの赤ワインで、タンニンや酸味、樽(たる)由来のチョコレートのような甘い香りとのバランスも抜群だ。

※価格は税込み

(ライター 猪瀬聖)

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