品薄だが7月以降、再び日本に入荷予定

イタリア系の白ブドウ品種ピノ・グリージョから造った「シャボー ピノ・グリージョ 2018」

ウクライナも注目のワイン産地の1つ。日本ソムリエ協会の田崎真也会長は「旧ソ連の時代は質より量を重視したワイン造りだったが、1991年の独立後は、欧州系の国際品種、特にドイツ系品種が盛んに植えられるようになり、量より質のワイン造りに転換した」と、協会員を対象に開いた先日のセミナーで解説した。同協会はウクライナを経済的に支援する目的で、ウクライナワインの試飲会を全国各地で継続的に開いている。

試飲した中で特に印象的だったのが、南部の港湾都市オデーサの郊外にあるワイナリー、シャボーがイタリア系の白ブドウ品種ピノ・グリージョから造った「シャボー ピノ・グリージョ 2018」(参考価格2750円)。レモンやライム、グレープフルーツなど爽やかなかんきつ系の香りが中心のフレッシュでフルーティーな辛口白ワインで、ほのかに感じる甘みやレモンの皮のような苦みが味わいに立体感と奥行きをもたらしている。これからの季節にはぴったりのワインだろう。

輸入業者によると、ウクライナワインは売れ行き増や現地の港湾の封鎖の影響で現在、極度の品薄状態だが、ポーランド経由で輸出した分が早ければ7月から順次、日本に入ってくる見通しという。

新興ワイナリー、ボロヴィッツァの赤ワイン「コレクション カベルネ・ソーヴィニヨン2016」

ヨーグルトで有名なブルガリアも東欧有数のワイン生産国のひとつだ。ブルガリアワインを輸入している酒類専門商社モトックスでブルガリアを担当するバイヤーの赤井美絵さんによると、ブルガリアは80年代には世界で5指に入る輸出量を誇ったが、共産圏だった当時は質より量を重視したため、品質がそれほど高くなかった。しかし、90年代に産業が民営化されて以降、ぐんぐん品質が上がっていった。

モトックスが輸入するワインの中で専門家からの評価が特に高いのが、2005年設立の新興ワイナリー、ボロヴィッツァが造る赤ワイン「コレクション カベルネ・ソーヴィニヨン2016」(参考小売価格2200円)。有機栽培ブドウを使い、ろ過は最小限、酸化防止剤無添加のいわゆるナチュラルワインだ。ナチュラルワインの特徴であるジューシーな味わいと、非常にやわらかな口当たりが心地よい。

シャープな酸味が持ち味の土着品種ガムザから造られた、同じボロヴィッツァのロゼワイン「リミテッド・シリーズ ガムザ ロゼ 2020」(同2640円)や赤ワイン「コレクション ガムザ 2017」(同2420円)もおすすめという。

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辛口に力を入れるハンガリー