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「マミーギルト」という言葉がある。母親が子どもや家族に抱く罪悪感のことだ。新型コロナウイルス禍での在宅勤務の普及や休園・休校などを背景に、今、改めて女性らからマミーギルトを感じるという声が挙がっている。この感情は、どこから来るのだろうか。

「動画ばかり」「塾弁作れない」……母親ら罪悪感抱える

「私が働いているせいで子どもに大変な思いをさせている」。東京都に住む30代の女性会社員は、10カ月の子どもの母親だ。1月はオミクロン型のまん延で保育園が休園となり、数週間、在宅勤務をしながら子どもの世話をした。オンライン会議の際は子どもをベビーサークルに入れ、隣の部屋へ。会議中、泣きっぱなしの子どもの声に「罪悪感でいっぱいだった」と話す。

1月下旬から2月に日経ウーマノミクス・プロジェクトが実施したアンケートで、小学生以下の子どもを持つ女性461人の回答を集計したところ、74%が「家事や子育てと仕事を両立するうえで、子どもや夫、周囲に対して罪悪感を感じることがある」と回答した。

さらに罪悪感を感じる人のうち35%がコロナ禍で「罪悪感が深まった」と答えた。「子どもが話しかけてくるのに、仕事中だと突き放さなければならない」(神奈川県・40代)、「在宅勤務中、子どもに動画ばかり見せてしまう」(東京都・30代)、「残業などで夕食や塾の弁当が作れない時、家族が仕事の犠牲になっているのではと感じる」(大阪府・40代)などの声が寄せられた。

家事や育児がきちんとできず、申し訳ない。私はダメな母親だ――。母親が子どもや夫に抱く罪悪感を英語で「マミーギルト」と呼ぶ。米国では「母親は父親に比べ、自分の仕事が家族に与える影響について多くの罪悪感を持つ」といった調査結果もある。働く女性のキャリアコーチングを行うボーク重子さんは、日本にも「母乳神話」などの言葉があるように「米国では以前から一般的に広く知られる概念だ」と説明する。

家事・育児時間は増加、在宅勤務との両立厳しく

そんな「マミーギルト」を日本の働く女性らがコロナを機に改めて募らせている。背景には在宅勤務が広がり、家事・育児にかける時間が増えたこと、さらに休園や休校で子どもの在宅時間も長くなったことがある。

東京都が2021年に未就学児を持ち配偶者と同居する男女各1000人に聞いた調査で、女性の家事・育児関連時間は19年度に比べ一日あたり20分増えた。家事時間が増えた理由(複数回答)は「通勤時間や残業時間等仕事にかける時間が減った」(46.2%)が最多で、次に「家庭内のやるべき家事が増えた」(45.9%)。育児では「時間をかけて子どもに接したい」(11.0%)も上位だった。

これまで母親らは、保育園や学童保育などを利用し、仕事に集中できる環境を整えてきた。ところがコロナ禍でそれらの利用が制限される中、子どもの健康管理という負荷も加わり、仕事と家庭の両立に困難が生じている。在宅勤務と「家庭保育」との両立も厳しい。仕事の傍らオンライン授業のフォローや子どもとのふれあいにも気を配り……奮闘してもうまくいかず、落ち込む母親らの姿が浮かぶ。

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