シンプルな味付けのイタリア肉鍋は、ソースで味変!

フォークでほろりとほぐれるジューシーな鶏モモ肉に、軟らかでうまみたっぷりの牛スネ肉、フェンネルシードなどが入り風味豊かなサルシッチャ――。どの肉もそれぞれの味わいが存分に引き出され、「こんなに食べきれるだろうか」と思ってもどんどん食べ進んでしまう。そして、その味わいにさらに変化を加えるのが、ボッリートに欠かせない調味料だ。味付けがシンプルなこの料理は、ソースと一緒に楽しむものなのである。
ボッリートに添えられる定番ソースは「サルサヴェルデ」という緑色のソースで、イタリアンパセリとアンチョビ、ケッパー、パン、オリーブオイルを合わせたもの。現地では、サルサヴェルデにゆで卵も入れるが、広い客層が訪れるデパート内の店である「YUKA伊」は、食物アレルギーに配慮し、卵を省いたソースにしている。
このほかには、やはりイタリアでポピュラーな「サルサトンナータ」というツナとケッパーのソースやピクルスに日本の伝統調味料、味噌や葉ワサビも添える。味噌は、200年以上の歴史を持つ老舗「大桂商店」、葉ワサビは「藤屋わさび農園」といずれも長野県産のこだわりの食材だ。

日本で鍋料理といえば、具材のうまみがたっぷり出たスープが、肉や野菜と同じぐらい重要なごちそうだが、イタリアではボッリートのスープは飲まないそう。そもそも、イタリアの店では鍋では出さず、皿盛りにして提供するのだ。なんともったいない! と思ったら、ゆで汁は別の料理に用いたりするらしい。
鍋スタイルで提供している「YUKA伊」では、スープも存分に味わえる(希望により、スープは別添えで現地スタイルの皿盛りにもしてもらえる)。シメにはスープを用いたパスタが出るのだが、日本人としては欲張りにも「ご飯もあるといいなあ」と思ってしまった。あのスープの雑炊は絶対おいしいに違いない。

同店では「CONVIVIO」の姉妹店ならではのカラーも加えたいと、ボッリートはコースやセットメニューの一品として提供(昼は1980~8250円、夜は3300~11000円。お手ごろなセットメニューでは、ボッリートのボリュームを落としたり、肉の種類を限定したりして提供)。真っ黒な竹炭のアランチーニ(ライスコロッケ)など、レストラン料理ならではの突き出しや前菜も、鍋と一緒に堪能できる。イタリア鍋はワインとの相性も抜群。鍋の楽しみが、ぐっと広がりそうだ。
(ライター メレンダ千春)