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政府は6月初め、女性活躍や男女共同参画社会の実現に向けた施策を「女性活躍・男女共同参画の重点方針(女性版骨太の方針)2022」として公表。岸田内閣が「新しい資本主義」の中核と位置付ける「女性の経済的自立」を軸として、4つの柱を打ち出しました。この「女性版骨太の方針」によって、どこまで改革が進むのでしょうか。男女間の賃金格差解消への対応や社会保障制度の在り方に焦点を当て考えてみます。

人生100年時代、多様化する生き方

男女共同参画は、国際社会で共有されている規範といえます。けれども、日本は世界経済フォーラム(WEF)が公表した、男女の平等度合いを示す「ジェンダー・ギャップ指数」2021年版で156カ国中120位に沈んだことに表れているとおり、世界の潮流から大きく立ち遅れていると言わざるを得ません。

人生100年時代を迎え、日本女性の半分以上が90歳まで生きるなか、離婚件数は増加し家族の在り方も多様化。昭和の時代に夫婦単位で形成されてきた各種制度や労働慣行、また固定的な性別役割分担意識などの構造的な問題に手を打つ必要に迫られています。

このような課題への対応として打ち出されたのが、「女性版骨太の方針」です。4つの柱として、(1)女性の経済的自立、(2)女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現、(3)男性の家庭・地域社会における活躍、(4)女性の登用目標の達成(第5次男女共同参画基本計画の着実な実行)が新たに取り組む事項として掲げられました。

中でも、対応のカギとなるのが「女性の経済的自立」です。昭和の時代は、男性が外で働き女性が家庭を守るといった、固定的な性別役割分担意識が一般の人々の間にもいまより強く見られました。また労働慣行においても、育児休業や企業の子育て支援策など女性が出産後に継続して働ける仕組みが十分には整備されていませんでした。そうした背景により、女性が結婚に経済的安定を求めることに、かつては一定の合理性があったかもしれません。しかし、それはもう過去の話です。

経済的に自立できれば、人生における選択肢が広がります。有業の既婚女性の6割が所得200万円未満、単身未婚女性の約半数が所得300万円未満という現実の中で、いかに経済力を高めていくかは、女性自身のためにも重要な課題です。

しかし、日本における男女間の賃金格差は、諸外国と比べても非常に大きいという問題があります。経済協力開発機構(OECD)による調査においても、男女間賃金格差の平均がOECD諸国平均は88.4%であるのに対し、日本は77.5%と大きく下回っているのが現状です。

そこで、女性版骨太の方針においては、男女間賃金格差への対応として、賃金の格差に関する情報開示を義務化する方針が打ち出されました。

写真はイメージ=PIXTA

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