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欧米の先進IT企業を中心に経済学の知見をビジネスに生かそうという動きが広まっている。DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が高まる中、その動きはIT業界にとどまるものではない。経済学の社会実装というミッションを掲げて事業展開するエコノミクスデザイン(東京・新宿)の代表取締役、今井誠氏がその背景や具体的な実装例、活用に向けた経済学の学び方を解説する。

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前回、「経済学」はビジネス教養となるという話をしました。では、ビジネス教養として学んだ「経済学」をビジネスに実装するにはどのようにしたらよいのでしょうか?

実装についても、さまざまな企業への導入から見えてきた心構えがあります。「パートナーシップ」「相互理解」「発注能力」の3つです。

相互理解が課題解決につながる

まず、「パートナーシップ」。ビジネス課題解決のために経済学者と議論を開始するタイミングでよく見るケースです。経済学者を「先生」として扱ってしまう。多くのビジネスパーソンは「先生に教えを乞う」と考えてしまいがちです。しかし、この場面で求められているのは、パートナーとしての関係性です。経済学者がその状況に適した学知を、そしてビジネスパーソンが業界のルールや商慣習・既存戦略などを、持ち寄ることではじめて本来的な解決策が見つかります。両者の情報・知識を結集し、対等に議論を行うことで、課題解決につながっていきます。

2つ目の「相互理解」。特に、経済学のビジネス実装の目的に関しては、入念なすりあわせが不可欠です。ビジネスパーソンも経済学者も「成功」を目指している点は共通しています。しかし、描いている「成功」のイメージが違うこともあります。例えば、経済学者は、ビジネス実装を一つの「実験」として捉えます。企業としては、費用対効果に合わないような細部まで徹底的に突き詰めてしまうとこともあります。しかし企業としては、「安定的で継続できるモデル構築」が重要で、いかに良い結果が出たとしても、費用に見合わないことはできません。このように、ビジネスサイドの目的の共有は怠ってはいけないポイントなのです。

3つ目の「発注能力」。言い換えれば、「自社の課題には、どのような学知が必要か」のめどを立て、「自社のビジネス課題を誰に相談するか」を見極めることです。経済学者は学知の専門家ですが、ビジネスの専門家ではありません。課題解決の相談相手を間違ってしまうと、課題の本質にたどり着けないということもあり得ます。

こうした心構えは、複数の経済学者とともに多数のビジネス課題と向き合って初めて見いだせたものです。気づくまでは、私自身、かなり苦労しました。

写真はイメージ=PIXTA

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