2022/1/27

不満の先にはハッピーがある

「日々、不満を意識しよう」と申し上げると、眉間にシワを寄せて考え込んでいるといった、あまり楽しくなさそうな生活風景を思い浮かべてしまうかもしれません。けれど、断言します。決してそうはなりません。

不満を意識するということは、裏を返せば自分にとって使いやすいもの、便利なもの、大切なものが見えてくるということなのです。同時に、それらが見えてくることで何を解決すれば好ましいかが分かってくるわけです。だから、不満を意識することは、自分にとってハッピーなモノで囲まれる生活に近づいていく助けとなります。

自分にとってのハッピーは決して人と同じではありません。「これを大切にしたい」「これを省きたい」の内容は人によって違います。それぞれの方の性格にもよるでしょうし、家族構成、持ち家かマンションかといったことや周りの環境、さらには「まもなく転勤する」「子どもが生まれる」などライフステージや時期によっても違ってくるでしょう。

だからこそ、日ごろから他ならぬご自分の不満を見つめることをおすすめしたいのです。そうしていけば、その時のご自身にとってのベストな解決方法がきっと見えてきます。SNS(交流サイト)などで「おすすめ」「これはいい!」といった書き込みを見かけても、それに踊らされずに済むようになる助けともなります。

そうしたことが積み重なって、時間の面でもお金の面でもムダ遣いのない生活になっていくと思うのです。即効性はないかもしれません。ただし、時間はかかっても「また失敗した」といったことから開放されて、本当に必要なモノや大事にしたいモノに囲まれて暮らすことができたら、ハッピーですよね。

最後にもう1つ。お金は人によってどの程度使えるかなど違いがあります。けれど、時間はどんな人にとっても「1日は24時間」と条件が同じです。その24時間を増やすことはできません。だからこそ、自分は何に時間を使いたいのか何に時間を取られたくないのかを意識することが、当たり前かもしれませんが、快適に暮らしていくための大切なポイントになるのではないでしょうか。

時間とお金の損益分岐点は人それぞれ

「これには時間を割きたくない」「これにかけるための時間がない」という場合、手作りの料理の代わりに総菜を買うように、お金をかけることで時間を短縮できる場合もあります。そのための出費がご自身の許容範囲内であるならば、お金で解決するというのも1つの方法です。

冒頭にご紹介した、私の会社員時代の筆記具の話はまさにこの例です。当時の私はタダで使える会社支給の文具の代わりに、自腹で赤黒ボールペンとシャーペンが一体化した文具とノック式の蛍光ペンを購入しました。

自分のニーズに合うものを入手しようと買い物にも時間を割き、数百円程度とはいえ出費もした訳です。けれど、「持ち換えのムダを省きたい」「蛍光ペンのフタをとる手間を省きたい」といった日々のイライラが解消され、ぐんと仕事がはかどるようになりました。ささやかな例ではありますが、自分にとってはまさに必要なものだったので、それらを入手するための時間もお金もムダ遣いにはなりませんでした。

時間とお金の損益分岐点は、本当に人によって違うもの。今回の記事を機に、読者の皆さんが暮らしのなかの不満を見つめ直し、ご自身にとってのハッピーな状態に少しでも近づいていかれることを願っています。

ムダ嫌いな自分のノウハウを少しでも役立てていただけたら……。そんな思いで本コラムを執筆して参りました。これまでの記事の中で、ほんの1行でも読者の皆様にお役に立つ内容がありましたならば、誠に幸いです。

(おわり)

矢野 きくの(やの・きくの)
家事アドバイザー・節約アドバイザー。明治大学卒。女性専門のキャリアコンサルタントを経て現職に。家事の効率化、家庭の省エネなどを専門にテレビ、雑誌、講演などで活動。著書:「シンプルライフの節約リスト」(講談社)他 オフィシャルサイト https://yanokikuno.jp

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