人生は長い 子育て落ち着いた後に挽回のチャンスも

――子どもの成長に応じて、1日の過ごし方も変わっていきますね。

山口 そうですね。だから、子育てで大変な時期というのは、せいぜい10年くらいではないでしょうか。一方で、人生はどんどん長くなってきていますよね。皆さん、いつまでご自身が働くと思っていますか。私が会社員だったときは60歳で定年だったけれど、いまは60歳が65歳になり、場合によっては70歳になり、会社を辞めて転職したりキャリア準備をしたりする方もいっぱいいます。

育児がある程度、落ち着いた後に、もう1回スタートしても十分、時間はあります。私自身も、子どもたちが成人したいま、これからのキャリアのための新しいチャレンジとして、大学の博士課程後期で学ぼうと準備を進めているところです。

人生は長いし、しかも人口が減っているので「仕事はいつまでたってもある。あなたさえ、その気でいれば」という訳です。子育てに重心を置くことが一時期あっても必ず挽回できます。だから、安心していま、ご自身のやるべきことに注力してほしいと思います。

育休後コンサルタントという仕事柄、「復帰後、職場の人に『申し訳ない』と思わずに責任を果たしていくためにはどうしたらいいか」など仕事に関するアドバイスを伝えることが多い山口さん。ただ、それで十分とは思っていないようだ。「お1人、お1人の人生や仕事を巡る環境は実に多様です。誠実にお手伝いして差し上げたいと思うと、育児のことと仕事のことと、相反するようなことであっても、どちらもお伝えせざるを得ないのです」と話す。育児では、「この年齢でこの経験を」「後からだと間に合わない」など、その時期その時期で大事にしたいことも。だから、仕事のこともプライベートのことも中長期の視点を持つようにし、そのうえで「何に比重を置く時期なのか」を意識するように山口さんは説く。

――簡単ではありませんが、中長期的な視点を持つことは大切そうですね。

山口 研修などでお伝えして、よく「響く」といわれるのは「低空飛行でも飛び続ければ必ずチャンスはやってきますよ」という言葉です。

いろんな要因で、「低空飛行」ではなく1回着陸(離職)する方もいらっしゃるでしょう。でも、もし着陸しなくて済む状況なのであれば、低くてもいいから飛び続けてみたらどうでしょう。

飛行機が離陸するときはものすごくG(重力加速度)がかかりますよね。あれと同じで、いったん離職してしまうと、いざ仕事を再開というときにかなりエネルギーを使うことになって、大変なように思うのです。

だから、とにかく飛び続けること。そうすれば、いつか追い風が吹くとお伝えしたいと思っています。

「飛び続けること。そうすれば、いつか必ず追い風が吹く」と山口さんは助言する(写真はイメージ=PIXTA)

なぜ両立生活をしているのか 自分なりの答えを持つ

――「飛び続けて」いくためのアドバイスはありますか。

山口 生き方は本当に人それぞれで正解はありません。ただ、仕事をしていれば、社会の中で様々な人と出会ったり視野が広がったり、子どもの悩みに対しても、より幅広い知見の中から答えをみつけることができるかもしれない。

ただ、 こうした考え方は私自身が自分で見つけた、仕事を続けるための「言い訳」です。言い訳をいつも考えてきた。もし、「このまま働き続けていいのだろうか」と悩んだ場合は、皆さんも自分で働き続ける理由を考えていい。

「経済的に安定するため」「子どもにいろんな選択肢を与えてあげたい」――なんでもいいです。「なぜ自分は両立生活をしているのだろう」ということについて、自分なりの答えを1つ持っておくと、それが支えになって悩みすぎなくて済むのではないでしょうか。

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若い男性の意識変化 育児に関する男女差縮まる