水虫がなかなか治らないのはなぜ? 完治への近道は…
この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ今日からのセルフケアにお役立てください!
(1)かゆくない水虫もある
(2)バスマットの共用は感染を広げやすい
(3)症状が治まってもさらに1週間は薬を塗る必要がある
答えは次ページ
答えと解説
正解(間違っているもの)は、(3)症状が治まってもさらに1週間は薬を塗る必要がある です(実際には、症状消失後も1~2カ月は治療の継続が必要です)。
水虫(足白癬)は、カビ(真菌)の一種である白癬菌に感染して起こる病気です。白癬菌は1つの菌だけを指すわけではなく、さまざまな種類があります。いずれも、足の皮膚に付着して角質に入り込み、そこに含まれるたんぱく質のケラチンをエサにして生き延びます。水虫に悩む人が増えるのは初夏から秋ですが、菌が活動的になって症状が出やすいのが高温多湿な時期というだけで、水虫を持つ人の角質の中には、冬でも白癬菌が潜んでいます。
「水虫はかゆい」というイメージがありますが、実際にかゆみが出るのは水虫患者の半数程度です。「かゆみの有無は菌の種類によって多少異なり、かゆみを生じる菌ももちろんありますが、一番多い菌ではかゆみなどの自覚症状があまり出ません。それだけ人とうまく共存できる術を身につけている菌だと言えます」。神奈川はた皮膚科クリニック院長の畑康樹氏は、そう話します。
水虫の感染源となるのは、バスマットなど、菌が付着しやすく、なおかつ複数の人が踏む場所です。「ただし、足に菌が付着するだけで感染が成立するわけではなく、菌が角質の中に侵入して感染するまでには約48時間かかります。共同浴場やジムなどで白癬菌のついたマットを踏んでしまっても、家に帰って足をきれいに洗えば菌は落ちます。しかし、白癬菌を持つ人と日常的にバスマットなどを共有すれば、せっかく足を洗っても再び菌を踏み、感染する可能性が高くなります」(畑氏)。
皮膚がきれいになってもダメ押しで1~2カ月は薬を塗る
水虫では、抗真菌薬と呼ばれる、白癬菌に効く塗り薬を使うのが基本です(表1)。
水虫の塗り薬の使い方にはいくつかの注意点があります。「症状が治まると塗るのをやめる人がいますが、皮膚がきれいになってからも、ダメ押しで1~2カ月は塗り続ける必要があります。皮膚の細胞は、一番奥の基底層と呼ばれる部分で常に新しく生まれていて、徐々に表面へと押し上げられ、1カ月弱のサイクルで入れ替わっています。足の角質はかなり厚いので、一番奥の組織が表面まで成長するのを待つ必要があるわけです」(畑氏)。
塗り方にも注意が必要です。「症状が出ている場所だけ塗るのでは塗り残しが生じ、完治に持っていけません。白癬菌がどこにいるのか見えないからこそ、指と指の間や足の裏だけでなく、足の甲まで広範囲に塗ることが大切です」と畑氏は話します。また、爪に白癬菌が入り込んだ爪水虫(爪白癬)の場合は、塗り薬ではなかなか効果が得られないため、飲み薬を使います。
水虫を放置すると、悪化したり、他の人にうつしたりするリスクが発生します。市販薬で対処しても、中途半端に中断すると菌が残り、完治に至りません。医療機関で検査・診断を受けた上で、医師の指示の下で薬を使うことが完治への近道と言えます。
「感染予防のために、バスマットやスリッパ、タオル、爪切りなどは家族であっても分けて使ってください。スポーツジムやゴルフ場のシャワールームでうつることもあるので、帰宅後は足を洗う習慣も必須です」と畑氏はアドバイスしています。
[日経Gooday2022年4月4日付記事を再構成]
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